暴力団

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ヤクザ勢力図

暴力団(ぼうりょくだん)とは、クズ・ゴミ・カス・ゴキブリ以下中国人(台湾香港)・韓国人レベルのクズ組織された暴力を背景に金品の利益などの私的な目的を達成しようと、日本を中心に活動する反社会的な集団のこと。諸外国におけるマフィアギャングに相当する。暴力団自身は任侠団体(にんきょうだんたい。仁侠団体とも書く)などと自称している。

「暴力団」という呼称は、警察マスコミ戦後命名したものであるが、現在では法的にも正式なものとなっている。

概要

創設者の姓名や拠点とする地名などに「組」、「会」、「一家」、「連合」、「興業」、「総業」、「商事」、「実業」などを添えた団体名を名乗る場合が多い。

社会に対しては暴力団員達は生き残りのため系列に思想団体・政治結社(主に右翼団体を装う場合が多く、「右翼標榜暴力団」と呼ばれる。また同和団体を標榜する場合も多い)や合法的に見せた会社(企業舎弟、建設業や不動産業、金融業を標榜する場合が多い)を持つことも多い。近年ではNPO法人を装うこともある。

「シノギ(凌ぎ)」と呼ばれる資金獲得行為には、いわゆる「みかじめ料」(かじめ―香注連からか。宮崎県で言う、鳥避けの為の縄張りの事)・「用心棒料」徴収などの恐喝行為、売春の斡旋、覚醒剤麻薬などの薬物取引、拳銃などの銃器取引、賭博開帳、闇金融などの非合法な経済活動を行っていることが多い。刺青指詰めなどの特殊な文化を持つ。 構成員は「ヤクザ」、「極道」、「不良」、「チンピラ」などと呼ばれる。ヤクザの語源は多説あるが、カルタ賭博で一番悪い目である「八」「九」「三」の数(いわゆるブタ。おいちょかぶを参照)から由来するという説、喧嘩などの仲裁を行った「役座」という社会的地位に由来するという説などがある。最近では、この4つの呼び方の中でヤクザがよく使われる。数字の「893」は「ヤクザ」の直接的表現を避ける場合に、隠語として使われる。「極道」は自らを美称する呼び名で、"男の道を極めし者"から。また「極道楽」の略ともされ「道楽を極める遊び人」との意味もある。

「顔」「面子」を潰されることを最も嫌い、組織内での制裁も軽いもので謹慎、剃髪、重いものでは指詰めから除名破門絶縁に至るまで、多岐に渡る。除名と似た言葉に「除籍」があるが、これは「堅気の世界で生きるため」など(一般的に見て)肯定的な意味で自分から辞める場合や、親分が子分に対し「堅気の世界で生きていくことが可能である」と判断して足を洗わせる場合(例:安部譲二)、年齢や体力を理由に引退する場合など、罰則的な意味合いは持たない。

なお社長が個人事業から発展させたような建設会社にも大林組間組(現ハザマ)、熊谷組など「組」を称する会社が多い為、そのような経緯を知らずに日本の法務事情を視察に来たアメリカ合衆国司法関係者が、"日本ではヤクザが会社を作り社会的認知を受けている"と驚いたという逸話がある。

歴史と区分

祭礼の周辺で商業活動を営む者を的屋(てきや)または香具師(やし)と呼び、丁半などの博打を生業とする者を博徒(ばくと)と呼ぶ。江戸時代においては、これらの者達は一般社会の外の賤民(せんみん)的身分とされていた。現代の一般社会からは、的屋も博徒も同じ「暴力団」と見なされているのが現状である。現代のヤクザは的屋の系譜を継ぐ者、博徒の系譜を継ぐ者のほか、人足稼業から出発した山口組など、実際にはそれ以外の出自のものも多い。

これら伝統的な団体の他、第二次世界大戦後の混乱の中で形成された愚連隊(ぐれんたい)などの不良集団からも暴力団は誕生した。 その後、日本の急速な経済復興に伴い港湾荷役、芸能興行など表向き合法的な経済活動にのみ従事する「企業舎弟フロント企業)」も生まれた。

なお、沖縄県には第二次世界大戦以前には暴力団はおろか愚連隊すら存在しなかったとされる。しかし戦後、米軍基地から食料等を奪取する略奪集団「戦果アギャー」や、飲食店や風俗店が雇った用心棒と彼らが属する空手道場が核となって、沖縄(コザ)市と那覇市にそれぞれ暴力団が発生、組織化されていった(→沖縄の暴力団)。

警察庁による分類

警察庁は かつて暴力団を「集団的に、または常習的に暴力的不法行為を行う恐れのある組織」と定義し、「博徒、的屋、青少年不良団」の他「不良土建、不良興行、港湾暴力団、炭鉱暴力団、売春暴力団、特殊暴力(総会屋、会社ゴロ、新聞雑誌ゴロ、政治ゴロ、社会運動標榜ゴロ)、事件屋、債権取立屋、パクリ屋サルベージ屋、不良探偵社、企業暴力」等に分類していた。

なお、反社会的・破壊的カルトオウム真理教など)であれば各種法令を駆使して組織壊滅に追い込む警察及び行政当局が、暴力団を一向に追い込まず、行政暴力に対し訴訟すら起こさない事等から、政府・財界が暴力団を必要としているからであるとの見方も存在する(右翼団体#活動)。

  • 博徒 - 賭博(鉄火賭博)を常習とする者の集まりで、親分子分の関係などによる組織を持ち、縄張りを有して何々一家何々組と称されるもの。
  • 的屋 - 通称 香具師、露天商、街商などと呼ばれるもののうち、何々一家何々組、何々会と称し、縄張りを有して暴力的不法行為を行い、若しくは行う恐れのあるもの。
  • 青少年不良団 - いわゆる愚連隊と呼ばれる不良青少年の集まりで、組織を構成し暴力的不法行為等の虞犯性の強いもの。
  • 不良土建 - 土建会社飯場等の名称で組織を構成し、暴力的不法行為等の虞犯性の強いもの。
  • 不良興行 - 興行、芸能社、プロ等の名称で組織を構成し、暴力的不法行為等の虞犯性の強いもの。
  • 港湾暴力団 - 主として港湾地区に荷役、沖仲仕、その他 船舶運送会社等の名称で組織を構成し、暴力的不法行為の虞犯性の強いもの。
  • 炭鉱暴力団 - 炭鉱地区の労務供給、鉱害、補償等を口実に、暴力的不法行為等を行う組織的な団体。
  • 売春暴力団 - 売春婦や、売春場所の管理あるいは、これらの者と結託する等、売春行為に資金源を求める暴力組織。
  • 会社ゴロ - 総会屋、総会荒らし、分割屋等、会社銀行等を対象として団体の威力を背景に、若しくは これを仮装して、あるいは株主権を利用して、金品を喝取する等の不法行為を常習としているもの。
  • 新聞雑誌ゴロ - 新聞、雑誌等、報道機関の公共性を利用し、会社・銀行等の経営内容、あるいは役員または個人の弱点に付け込み、これを記事として発表すると称して購読料、広告料、若しくは寄付金名下に金品を喝取する等の不法行為を常習としているもの。
  • その他の団体 - 前記各項に属しないものであって、組織を持ち、また集団の威力を背景に、あるいはこれを仮装して、常習的に不法行為を行い、若しくは行う恐れのあるものを言い、不良興信所、事件屋、手形パクリ屋、サルベージ屋、集団押し売り等が挙げられる。

構成員人数

警察庁発表による平成17年度末の暴力団の人数は構成員43,300人、準構成員43,000人、計86,300人である。バブル崩壊後は減少傾向にあったが、平成7年以降再度増加の一途にある。構成員数はほぼ横ばいだが、準構成員数は増加傾向にある。

政治経済への浸透

暴力団対策法施行以降、活動の秘匿化が進行しており、暴力団事務所の判別すら困難になった。戦前より政財界との結びつきがあるが、バブル期に手にした巨額の資金を力の源泉に、日本の支配階級の一角への食い込みに成功し、大きな影響力を行使する存在となっている。平成元年の警察白書では、暴力団全体の年間収入は、約1兆3千億円前後と推定していて、その内覚醒剤による収入は約4,500億円と推定している。東京佐川急便事件イトマン事件の二つの例だけでも、暴力団へ流れた資金はそれぞれ数千億円に上るとの見方がある。このことからバブル期から今日まで、わずか8万5千人程の暴力団に、年間1兆円以上と推測される巨額の資金がほとんど課税できずに流れていると思われる。特に資金を捕捉・課税することが困難であるのが影響力を断てない最大の原因である。もし一般企業同様に課税できたとすれば、数千億円を毎年課税する計算になるため、司法の各種取締りよりもはるかに大きな効果がある。

さらに、直接の年間収入に加え、パチンコ・アダルト・性風俗・飲食・貸金業・建設・運輸業などは暴力団と非常に深い結びつきがあり、アダルト業界、貸金業、性風俗店、飲食店、建設会社などは暴力団が直接・間接的に経営している場合も多く、様々な業界に進出し、実際の収入を大きく上回る影響力を持っており、日本の年間GDP約560兆円の内、かなりの割合に影響力を持っていると推測され、近年経済進出を最重要視し、裏の総合商社に近い役割を持ち始めている。

日本では政治家や企業と暴力団の関係が明るみに出ても、政治家や企業にとってさほど痛手にならないことも根絶が困難な一因である。これまでにそれが原因で失脚・倒産した政治家・企業はほとんどない。そのような政治家・企業を落選・倒産させない国民性も大きな要因である。一方、欧米諸国では犯罪組織との関係が明るみに出れば、政治家ならほぼ失脚であり所属政党も大ダメージを受け、企業なら倒産も有りうる為、デメリットの方が大きい。そのため日本のように必要とされず過剰に強大化していない。

2005年くらいから、コンビニエンスストアや青果店といった従来暴力団と関係の薄かった業種にまでみかじめ料の支払いを要求するケースが報告されており、このまま放置していてはあらゆる業種が暴力団からみかじめ料支払いの要求を受けかねず、国家にとって極めて深刻な脅威となっているため、警察単体ではなく、政府を挙げての対策が求められる。一方このようにコンビニエンスストアや青果店にまで現れる暴力団は弱小な下部の暴力団組織であり、真に脅威である、上記のような市場の信頼性にまで脅威を及ぼしている有力団体に対してこそ政府挙げての対策が求められる。

近年中国系犯罪組織等、外国犯罪組織に対しては弱腰との見方があり、自らが富裕層の仲間入りをしたため、構成員の高齢化とも相まって、サラリーマン化しつつあり気風が弱体化しつつあるとの指摘もある。また仮に暴力団壊滅に成功した場合でも、外国犯罪組織が取って代わるだけで余計に事態が悪化するとの見方もある。北朝鮮から覚醒剤を購入し日本国内での流通を取り仕切ったり、外国人強盗団・窃盗団に情報提供を行ったりなど、外国人犯罪組織の拡大に繋がる行為を暴力団自ら行っている。

先進国の中で、日本とイタリアは犯罪組織の影響力が非常に強く、根絶が困難な国と認識されている。米国の司法機関、情報機関、一部政府高官やアジア諸国の司法関係者の間では「ヤクザ」と日本語で意味がほぼ通じるほどである。ローマに拠点を置く反マフィア団体SOSインプレサの調査によると、マフィアの収益は イタリアの国内総生産(GDP)の7%となる年間推定約900億ユーロ(約15兆円)に達し、イタリア国外からの収益も加えるとさらに大きな収益があると推測される。日本も暴力団の各業界への間接的影響力を考慮すると、日本とイタリアは類似した状況となっている。

芸能界・マスコミへの浸透

戦前・終戦直後より、芸能界と暴力団は、切っても切れない繋がりを持つ。山口組三代目田岡一雄美空ひばりらが所属する神戸芸能社を経営、鶴田浩二襲撃事件も引き起こしている。吉本興業は戦前の東京進出の際、山口組の助けを借り、1968年には社長の林正之助が田岡と組んでのレコード会社乗っ取り容疑で兵庫県警に逮捕されている。当時の日本経済新聞によると林は「わしが田岡組長に電話したら山口組組員300名が駆けつけて血の雨が降るぞ!」とレコード会社側を脅迫したという。週刊文春にも「林正之助は山口組の準構成員であった」と書かれており、林は田岡の葬儀にも出席し棺を担いでいる。また林の長女、林マサは吉本興業株の30%を保有している株主であり、実質上、吉本興業にものを言える立場にあるが、五代目組長渡辺芳則と深い繋がりにあり、度々渡辺が出席するゴルフコンペや懇親会などに、吉本興業の芸人などを出席させている。このことは中田カウス本人も誌上で認めている。

またバーニングプロダクションへの発砲事件や、ライジングプロダクション(現ヴィジョンファクトリー)の脱税事件の背景からも、それは明らかである。地方での営業を依頼した興行主の中には、暴力団との繋がりのある企業もあり、芸能事務所側が暴力団との関係を十分に認識していた疑いが持たれている。

暴力団の取締まり体制の問題点

暴力団員が、自身を非合法組織の一員である事を堂々と認めることを許している現状に対する批判は少なくない。しかし、民主主義国家である日本においては、明確な犯罪の証拠も無く、単に反社会的な団体に所属していると言うだけで取り締まることは、結社の自由思想の自由を犯しかねないため、難しい。

暴力団の国家全体に対する影響力から比較した場合、実質上暴力団取締まりをほとんど行なっている警察の体制が不十分との指摘がある。現在警察の組織上の暴力団対策のトップ部局は警察庁刑事局組織犯罪対策部(旧・暴力団対策部)である。これは警察庁の内部部局のそのまた一つの部という位置づけである。より取締まり強化を目指し、内部部局である局へ昇格すべきとの意見が警察出身者などからある。財務省を除いた、他の省庁でも数兆円単位の問題が内部部局より下の単位で扱われるケースは少ない。

近年、暴力団は経済犯罪を最も重視しているが、日本に限らず、多くの国でも警察は伝統的に経済犯罪はあまり得意ではないため、この分野の大幅な強化の必要性も指摘されている。特に、金融関連や不動産関連などは暴力団が関与した事案が大量にある。

捜査員の中には手形すら分からない者も存在し、商取引を行なうことが無い警察の最も弱い分野であると古くから指摘されている。

暴力団による被害の使用者責任

近年、暴力団の対立抗争による被害に対し使用者責任を問う損害賠償請求が増加してきたが、抗争よりも、行政対象暴力みかじめ料徴収、ヤミ金融、各種威圧行為などの一般的な活動の方が、日常的に大きな被害がもたらされており、これらの事件でも使用者責任を問い、損害賠償請求の範囲に積極的に含めていくことが、暴力団弱体化に極めて大きな効果をもたらすと思われる。

それに伴い訴訟を起こした被害者や弁護士への暴力団による報復行為に対しては、実行犯のみならず組長をも共同正犯として刑事罰を課するような法運用を視野に入れ、民事刑事ともに暴力団に対する厳しい姿勢を明確にすることによって被害者を側面から支援することが求められる。さらに訴訟を起こした個人への報復を避けるため、原告の名前が暴力団側に通知されない匿名性の高い制度が整備されれば、訴訟件数は飛躍的に増え、暴力団にとって費用・事務作業共に大きな負担になると思われる。仮に、訴訟が年間数千・数万件という規模になってくれば、全てに報復することも不可能となり、存在理由である暴力を使用できないため、根本的な存在の可否に関わる極めて深刻な状況になると見られる。

近年は報復に限らず、逮捕される可能性が高い暴力行為を行う際、使用者責任に関した損害賠償請求を起こされるのを避けるため、形式上破門にした組員を使用し、ほとぼりがさめたころに元の組織、または付き合いのある別の組織が受け入れ、暴力団員として復帰することが多い。破門ではなく復帰不可能な絶縁を要求することと、偽装破門への司法の早急な対策が求められる。報復行為等を命じられるのは、ほとんどが破門前で組織に属している段階である(破門にしてから報復行為等を命じることは、暴力団の性質上ほとんどない)ため、その時点では組長等は使用者であるため、厳格な適用が求められる。

暴力団対策法の欠点

暴力団の収益の柱の一つがみかじめ料である。暴力団対策法暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)ではこれを暴力的要求行為として禁じている。しかし中止命令に従えば逮捕されるケースはまれである。

しかし、暴力を背景に金品・利益誘導を要求する行為は恐喝強要と重複する部分があるが、中止命令だけ出している現状では、逆に恐喝強要を見逃しているとの指摘がある。暴力団の暴力的要求行為に本来恐喝強要が適用されるはずが、中止命令に置き換わってしまったとの指摘がある。そのため、暴力団員に中止命令が出るまでは、暴力的要求行為をしても逮捕される可能性は少ないという安心感を与えている。

組織

日本のヤクザは通常、親分(組長)に対して弟分と子分が絶対的に服従する家父長制を模した序列的・擬制的血縁関係を構築することを特徴とし、この関係によって暴力団の強固な結合を確実なものにする。一般に、代表者である組長(他に「会」の親分は会長、「一家」の親分は総長と呼ばれ、総裁などの名誉職も存在する)と構成員である組員とは、盃事と呼ばれる儀式を経ることによって強い絆で結ばれる。組員は、組長から見て弟分(舎弟)と分(若中、若衆など)の2つに大別される。1次団体の組員も、自らを組長とする2次団体を組織する。 2次団体の組員もまた、自らを組長とする3次団体を組織する。これを繰り返すことによって暴力団はピラミッド型の階層構造を形成する。日本最大の勢力を誇る山口組の場合には、5次団体までの存在が確認されている。

各階層の団体において当該組長と盃を交わした組員を近年、直参と言う場合があるとされる(但、斯界における長老で「大関東」関根賢の"子"であった牧野国泰会長は強く異論を唱えてはいないが「直参とは武士の呼び方である」とする発言もしている。これは関東のやくざ社会が「武士道」に対する「任侠道」について常に意識して伝統を守ってきた経緯があり、松葉会の初代会長で水戸学にも造詣の深かったとされる藤田卯一郎もヤクザとしての"親"への誠意を「やくざ者もサムライに負けない殉死をする」とする発言で表している。しかし、今日では前記のようなタイプは少数派となっている)。

直参より下の下部団体組員について、暴力団側は"上部団体とは関係のない者"と主張しているが、外部社会からは"上部団体の統制下にあり、上部団体組長の指揮監督下にある者"と見られており、損害賠償請求訴訟でも上部団体組長の使用者責任を認める判決が出されてきた。

組長が引退したり死亡した場合には、組員の中から新たな組長が決められる。個々の組織の状況にもよるが、長男に当たる第一の子分(若頭、若中頭、若者頭、理事長など)が選ばれる場合が多い。新たな組長が就任すると、他の組員との間で盃直しと呼ばれる儀式が行われ、新たな序列に基づく擬制的血縁関係が再構築される。先代組長が跡目を指名しなかった場合には、組員同士の話し合いや入れ札(投票)で決められる。跡目選定を巡る内部対立から組織分裂に到った例としては、山口組からの一和会の分裂が挙げられる。ただ、近年は警察の監視が厳しく、武力による跡目争いを行うと警察が介入し、組織解体につながるため、武力抗争は減っている。

暴力団は組員から、一定額の会費を集め運営経費に充てる。また、義理掛けなどの慶弔費も これとは別に徴収する。また各組織ごとに舎弟企業や顧問先などをもち、そこで得られた利益は上納金として上部組織に納められるようになっている。麻薬覚醒剤の密売、闇金融振り込め詐欺など犯罪行為は下部団体の組員などが個人的に行っているという建前をとっている。上部団体は舎弟企業などを介し表面上合法的に収益を上げるシステムになっている。 このような暴力団の不法行為に対し「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(平成3年法律第77号、暴対法)が1992年3月に施行された。

なお、本土とは隔絶した米軍軍政下の時代に成立した沖縄の暴力団には、本土のように盃事によって親子関係を作り、組織内の権力を階層化することがなかった。組長と大勢の子分のみという単純で平坦な組織であったため、ひとたび発生した内部抗争を組織内で制御できず、簡単に全組織に拡大し泥沼化する傾向にあった。これが沖縄の暴力団抗争の激烈さの要因になったと考えられている。本土暴力団と交流を持った現在では、本土の盃事制度を取り入れ、組織を階層化している。

; 暴力団組織の例

組長(親分)─┬──若頭(長男)─┬──若頭補佐(子分)
             │                 ├──若頭補佐
             │                 ├──若衆
             │                 ├──若衆
             │                 └──若衆
             │
            └─舎弟頭(弟分) ─┬──舎弟頭補佐(弟分)
                                 ├──舎弟頭補佐
                                 ├──舎弟
                                 ├──舎弟
                                 └──舎弟

 ※舎弟、若頭、若衆もまた下部組織の組長であり、子分や弟分を持つ。


指定暴力団

都道府県公安委員会は、暴対法第3条の要件に該当する暴力団を指定暴力団として指定できる。2007年3月現在の指定暴力団は、以下の22団体である。[1]

名前 本部 代表者
六代目山口組 兵庫県 組長・司 忍(本名:篠田建市)
住吉会 東京都 総裁・西口茂男、会長・福田晴瞭
稲川会 東京都 会長・角田吉男
四代目工藤會 福岡県 会長・野村 悟
三代目旭琉会 沖縄県 会長・翁長良宏
五代目会津小鉄会 京都府 会長・図越利次
五代目共政会 広島県 会長・守屋 輯
六代目合田一家 山口県 総長・温井完治
四代目小桜一家 鹿児島県 総長・平岡喜榮
三代目浅野組 岡山県 組長・串田芳明
道仁会 福岡県 会長・小林哲治
二代目親和会 香川県 会長・吉良博文
双愛会 千葉県 会長・塩島正則
三代目侠道会 広島県 会長・池澤 望(本名:渡邊 望)
太州会 福岡県 会長・日高 博
七代目酒梅組 大阪府 組長・金山耕三朗(本名:金 在鶴)
極東会 東京都 会長・松山眞一(本名:曹 圭化)
東組 大阪府 総長・東 清(本名:岸田 清)
松葉会 東京都 会長・牧野国泰(本名:李 春星)
三代目福博会 福岡県 総裁・和田将志郎(本名:和田万亀男)、会長・長岡寅夫
九州誠道会 福岡県 会長・浪川政浩(本名:朴 政浩)
神戸山口組 兵庫県 組長・井上邦雄

指定が取り消されたか失効した団体

  • 石川一家(佐賀県) - 五代目山口組傘下入り(宅見組加入)により単立ではなくなったため1995年10月16日 取り消し
  • 二代目大日本平和会(兵庫県) - 再度の指定が行われず1997年4月6日 失効
  • 三代目山野会(熊本県) - 壊滅により2001年11月8日 取り消し
  • 極東桜井總家連合会(静岡県) - 消滅により2005年5月31日 取り消し
  • 國粹会(東京都) - 六代目山口組加入により単立ではなくなったため2005年10月31日 取り消し
  • 中野会(大阪府) - 解散により2005年12月22日 取り消し

主な非指定団体

名前 本部 代表者
源清田田名辺 茨城県 総長・田名辺城男
寄居分家五代目 群馬県 総長・五代 博
竹澤会 埼玉県 代表・大場 守
姉ヶ崎会 東京都 会長・中野目重民
八代目飯島会 東京都 会長・西川冠士
川口家会 東京都 会長・代表者不明
上州家会 東京都 会長・伊藤勝彦
新門連合会 東京都 総裁・斉藤有貴、会長・笠間直明
杉東会 東京都 会長・野原英三
醍醐宗家大田会 東京都 四代目・青山秀夫
丁字家会 東京都 会長・吉田五郎
東亜会 東京都 会長・金海芳雄
東京両國家 東京都 総長・佐藤稔
箸家 東京都 四代目・秋野傳三郎
桝屋会 東京都 会長・東浦外次郎
飴徳連合会 神奈川県 会長・永持英哉
神奈川松坂屋 神奈川県 七代目・小谷武士
徳力一家 神奈川県 総長・
横浜金子会 神奈川県 会長・寺田 隆(本名: 金子 隆)
櫻井總家 静岡県 総長・志村和夫
鉄心会 愛知県 役職名不明・高上鉄一
忠成会 兵庫県 会長・大森匡晃(本名:大森忠昭)
二代目松浦組 兵庫県 組長・笠岡和雄
竹中組 岡山県 組長・空席
二代目中国高木会 広島県 会長・北山昭男
樫田会 福岡県 会長・松田勇雄
三代目立川会 福岡県 会長・立川政幸
九州神代連合 佐賀県 会長・野口勝次
吉岡組 長崎県 組長・吉岡末義
三代目大倉会 熊本県 会長・大倉勝
二代目熊本會 熊本県 総裁・森原健次、会長・戸崎 豊
西田会 宮崎県 会長・赤沢保市

暴力団と差別問題

アメリカ合衆国のマフィアにイタリア系や中国系のマイノリティが多いのと同様に、日本における暴力団の巨大化も、特定の社会集団に対する差別が原因の一つだという説がある(後述、日本でのマイノリティ・在日朝鮮人の比率など)。この説は、メディアにおいてタブー化され、報道で伝えられることは滅多にないが、幾つかの書籍などに これに関する情報が記載されている。

  • 猪野健治は『やくざと日本人』の中で、昭和中期の関西や北九州の部落の悲惨な現状を取り上げ、日本社会に「やくざとなるか土方になるか」しか、選択肢の無い若者が多く存在する事が やくざの温床であるという見解を示した。
  • 公安調査官菅沼光弘は、公安当局のデータから「指定暴力団構成員の4割ぐらいは在日韓国・朝鮮系」、実経験から「裏社会は日本社会のいわばコインの表裏であり切り離せない」、などの見解を示した(平成20年2月18日放送たかじんのそこまで言って委員会より 詳細は後述)。
  • 宮崎学大谷昭宏との共著『グリコ・森永事件 最重要参考人M』で、「関西に暴力団が10人おったら そのうち9人はマイノリティ」と発言している。
  • 田中森一は著書『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』の中で、自身の弁護士としての経験から、法律の外に置かれた貧窮民や無宿人、被差別部落民たちを統治してきたのが暴力団であり、暴力団員にはそうした出自の者が多いと書いている。

マイノリティが暴力団員となるのは、差別により経済的な理由で学校に通えなかったり、就職差別で一般的な職に就くことができなかったりしたため、というケースが多い。暴力団員が多い、という理由でそのマイノリティが差別されることも多く、差別の悪循環に繋がっている。

米国の経済学者スティーヴン・J・ダブナーは、金銭的に苦しく望まれず生まれ育った環境と犯罪(米国マフィア)との関連性を中絶のデータなどから指摘している(彼の結論としては、中絶を禁じた方が犯罪が増えたという。合衆国では州によっては保守キリストの考え方があり、中絶が禁じられている)。

なお、重々承知かと思うが、差別や不当な抑圧が原因にあったとしても斯様な事は法的に許されるものではない。

暴力団と在日韓国・朝鮮人

四代目会津小鉄会元会長・高山登久太郎(姜外秀)は講演で、「ウチの組は同和が3割、在日が3割だった」と発言した。

公安調査官菅沼光弘公安調査庁調査第二部長)は2006年10月19日、外国特派員協会で行った講演で、六代目山口組ナンバー2・髙山清司から聞いた話として、暴力団の出自の内訳は6割が同和(被差別部落出身者)、3割が在日コリアン系(韓国系のほか、朝鮮系が3分の1)、残りの1割が非同和の日本人や中国系などで占められるという見解を示した。在日韓国・朝鮮人が形成している暴力団では東亜会(旧「東声会」)などがよく知られている。柳川組は、元々在日韓国人・在日朝鮮人の団体として、スタートした。その後、柳川組は、全国展開していく中で、北海道同志会などの数々の日本人の暴力団を傘下に収めた。

暴力団との関係が明るみに出た組織・政治家・著名人

関連項目

外部リンク