鋼の錬金術師の主要な登場人物

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鋼の錬金術師の主要な登場人物(はがねのれんきんじゅつしのしゅようなとうじょうじんぶつ)は、漫画作品及びテレビアニメ鋼の錬金術師』に登場した人物のうち、特にエルリック兄弟に関わったり、ストーリーラインに深く関わりを持つ人物に関する一覧である。


注意以降に核心部分が記述されています。

エルリック兄弟と関わりの深い人物

ウィンリィ・ロックベル(声:豊口めぐみ
本作のヒロイン。機械鎧整備士の少女。1899年生まれ。現在15歳。
淡い金髪でポニーテール、整った容姿に青い瞳をしている。機械類には目がないお転婆な女の子。リゼンブールの医者の家に生まれ、エルリック兄弟とは幼馴染である。両親は彼女が8歳の時にイシュヴァールの内乱で死亡し、以後、祖母のピナコに育てられる。ピナコを師として機械鎧整備士になり、エルリック兄弟を支えている。物語初期ではピナコと共にリゼンブールで機械鎧整備士として働いていたが、エド達と共にラッシュバレーに立ち寄った際に自分の未熟さを知り、そこでさらに技師の腕を磨く事を決意。その後、ガーフィールの下で機械鎧整備士として働いている。
性格はとても明るく、ガサツな部分も見える。フェチとも言えるほどに高じた機械好きのため、エドが機械鎧を壊したのを知れば問答無用でスパナ等で殴りつけることも珍しくない。エドの銀時計を無断で分解しようとしたり、見ず知らずの人物の機械鎧まで追求しだすなど、半ば無神経な行動も見られる。その反面、本心は泣き虫かつ寂しがり屋で、常に危険に晒されている兄弟を心配するなど、誰よりも兄弟の無事を願っている。ヒューズの死や両親の死の真相などから精神的に不安定となったこともある。また、ピアスのエピソードなどが示すように、依存傾向が高い面も見られる。
機械鎧整備士の腕は非常に優れており、エドの機械鎧はすべて彼女が製作・整備しているものである。そのため、エルリック兄弟は定期的にリゼンブールに帰るなどしているが、最近は出張整備なども行っている。また、幼い頃から家にあった医学書を読んでいたことから医学知識も豊富で機械鎧における医学分野にも明るい。それに関連し、ラッシュバレーで助産師の任を買って出て出産を行ったこともある(学問として習得したわけではないので医学に詳しいというわけではない。出産の立会いもかなり混乱しながら行った)。
エドとは、彼へのお節介や彼女のメカオタクぶりへの呆れなどから、しょっちゅう口ゲンカなどをしながらも機械鎧整備士として信頼され、彼自身、ウィンリィ以外の機械鎧整備士の世話になるつもりはないらしい。また、ホークアイの影響を受けて着け始めたピアスも、ほとんどはエドが送った物で年毎にそれは増えて今では右に4つ、左に2つの合計6つになっている。両親の死の真相から「傷の男」に銃口を向けた際には、エドに説得されて心の整理をつけ、それ以来、エドへの恋愛感情を自覚するようになり、現在ではほぼ相思相愛となっている。ちなみに、エドは聞き逃してしまったがウィンリィは一度、告白同然の発言を滑らせた事がある。
現在、エルリック兄弟に対する牽制としてホムンクルスによって事実上人質にされている。「寒冷地に対応していないエドの機械鎧の改良」という名目のブリッグズへの出張も、実情はブラッドレイによる北でのホムンクルス達の策謀における牽制である。当初は自分がエド達の枷になっていることを知らなかったが、ブリッグズで自分の置かれた立場を知る。さらに、ブリッグズでは「傷の男」と和解し、今度はホムンクルス達を出し抜くために「傷の男」にさらわれたということになっている。
作者・荒川弘はウィンリィの存在を重要視しており、本当は3話の時点で出演させるつもりでいた。しかし、担当に「まだ早い」と止められ、結果としては9話まで登場させる事が出来なかった。作者はこのことについて悔やんでいると言うコメントを残している。しかし、再登場以降は重要な役割を持っている。ちなみに、この二人の名前を組み合わせるとジーンズメーカーである「EDWIN」の名前になり、作中でもセントラルでウィンリィの泊まったホテルの部屋の番号が「503」号室だったりとファンのみならず作者からもネタにされている。
アニメでの設定
公式設定ではヒロインであるが名前の誤植があったなど扱いはあまりよくない。作者は前述の原作での登場が遅かったことから「原作よりもっとヒロインらしく」と製作者側に頼んでいたが、実際には作者の意向とは異なる結果となった。雑誌のインタビューで水島監督は「ウィンリィがヒロイン」と断言しているが、脚本家の會川が「ヒロインはアル」、「(ウィンリィを)ヒドイン」と発言し、製作者側でも見解が分裂しているようである。また水島監督は「(錬金術世界のウィンリィ)はやくいい人みつけて結婚できるといいね」または「エドのことはふっきった」と発言している。アニメ夜話によれば、アニメ開始前に原作にて登場回数がほとんどなかった為、設定しづらかったらしい。
OVAの短編にて、現実世界のエド達の未来が描かれていたが、エドかアルどちらかの孫達の中にとても彼女に似ている人物がいることから、現実世界のウィンリィと結婚した可能性がある。また、同時収録の短編(宴会編)では夫婦喧嘩のようなやり取りをしていた。
イズミ・カーティス(声:津田匠子
錬金術師。エルリック兄弟の師匠。36歳。
細いドレッドロックスをポニーテールのように束ねた髪型と、左鎖骨下の「フラメルの十字架」の入れ墨が特徴の女性。年齢と虚弱体質の割りに、若々しい美貌とモデル並みな抜群のプロポーションを保ち、胸元の大きく開いたセクシーな服などを着ているが、履物は何故かいつもトイレ用サンダルという井出達。結婚18年目。旧姓「ハーネット」。自宅はダブリスで精肉屋を経営する。趣味は夫婦揃っての旅行。
性格は少々頑固だが、厳しさと優しさの両方を兼ね備えた聡明な女性。だが夫であるシグの前では180度態度が変わり、所かまわずのろける。だが夫を愛すあまり、最初の妊娠で病気により流産した時に、人体練成によって子供を蘇らせようとし、内臓の大半を持っていかれ、虚弱体質はおろか子供を産めない身体になってしまった。また、その関係でよく吐血する。しかしながら、相当な腕前の体術を持ち、アルを救出するためにデビルズネストに乗り込みグリードに啖呵を切るなど、その強さは衰えていない。また、錬金術師としても人体練成や、人柱候補にされていることからわかるように能力は高い。
エルリック兄弟に錬金術の基礎と体術を叩き込んだ鬼師匠であると同時に、兄弟にとっての母親代わりのような存在。逆に子供のいない彼女にとっては2人は息子同然である。旅行中にリゼンブールに立ち寄った際、まだ幼いエルリック兄弟と出会う。元々、弟子を取らない主義であったが、弟子入り志願したエルリック兄弟の真剣な眼差しに根負けし、「ヨック島で一ヶ月、錬金術なし(ナイフだけ)で生き延びること」と同時に「一は全、全は一とは何かを知る」を条件に弟子入りを認める。このヨック島の修行を始め、修行はスパルタ教育であり、作中ではエルリック兄弟がたびたび修行時代のことを思い出して、当時の過酷さと現状を対比させるシーンがある。
18歳の頃に錬金術師を志し、著名な錬金術師である「シルバ・スタイナー」を尋ね、弟子入り志願する。その条件として「ナイフ一本で一ヶ月、冬のブリッグズ山で生き延びろ」と命じられる。現在でもブリッグズ砦にて語り草になる程に、国境警備隊や猛獣をなぎ倒して条件をクリアするも、実は弟子入りを志願した相手は錬金術師のシルバではなく、武道家である兄の「ゴルド」と判明(シルバは既に死亡)。ただし、結果としては一は全、全は一を学びとることに成功する。
また、この修行の帰りにシグと偶然に出会い、互いに強烈な一目惚れをして今に至る。(ハガレン研究所DXの「もしもシリーズ」内の仮想の話、実話がどうかは不明)
アニメでの設定
アニメでは錬金術の師匠がダンテだった、人体錬成した息子がホムンクルス(ラース)だったなど、原作に比べて物語の全編にわたって主要な位置を占めるキャラとなっている。禁忌を犯したが故に、ホムンクルスに関することなど様々なことを知っている。また、性格もラースに対しての自責の念からか原作の性格的な強さが成りを潜め、心の脆い女性になっていた。さらに、内臓がない設定が強く描かれ、原作では主にギャグ要素としての吐血だったのが、アニメ版では生死に関わる深刻なものとして扱われており、劇場版の世界では亡くなっている。
師匠ダンテの錬金術の腕前を認めてはいるが、人間を軽蔑する彼女の思想に共感できずに袂を分かつ。また、エルリック兄弟も使っている「フラメルの十字架」もダンテからの影響となっている。また、劇場版では、ラースがグラトニーとの戦いの後に門の前に来たときに、黄泉の入り口である門の向こう側からイズミが現れて、ラースを抱きしめるシーンがある。
ヴァン・ホーエンハイム(声:江原正士
エルリック兄弟の父親。錬金術師。
金髪眼鏡に特徴的な顎鬚を持つ大柄な男。後述する事情により不老不死で悠久の時を生き、各地を旅している。リゼンブールでトリシャと出会い、入籍こそ無かったが彼女との間に2人の息子をもうけて暮らしていた。しかし、ある時に突然出奔し、行方不明だった。理性的で感情を表に出すのが苦手だが、家族に対する愛情はとても深い。しかし、後述するように、息子たちが普通に成長する様子を見て自分の身体に負い目を感じ、家族を遠ざけようとしていた。だが、幼いエドを描いた番外編のエピソードが示すように良き父である。しかし、出奔をトリシャの死の間接的原因と考えているエドからは酷く嫌われている。
出奔から約10年後(トリシャの死から6年後)にリゼンブールに帰郷し、既にトリシャが亡くなっていたことや自宅がエドの手によって焼き払われていたことをやっと知る。偶然、居合わせたエドワードとも再会するも、会った早々にエドの行為の意味を指摘し、結局は逆上させることとなる。ただ、ピナコと話すことで間接的に人体練成の事実をエドに知らせ、これがエドの大きな前進に繋がった。
その出自は、かつて栄えた大国・クセルクセスで「二十三号」と呼ばれていた一奴隷。ある時、錬金術師である主人がホーエンハイムの血を元にホムンクルス(本物語における「ホムンクルス」ではなく、本来の意味に最も近い「フラスコの中でしか生きられない生命体」である)、後の「」を造り出し、その縁でそのホムンクルスより名前「ヴァン・ホーエンハイム」と多様な知識を与えられる。その後、クセルクセス全国民を代価とした賢者の石の練成によって、その半分の命を持った賢者の石を肉体に付加され不老不死となる(ホーエンハイムは自らは賢者の石その物だと述べている)。その後は、東へ向かいシンの錬丹術を習得し、アメストリスにやってきた模様(シン国の伝承に残る「西の賢者」と推測される)。先述のように本人は自らを「化け物」と呼び嫌悪していた。幾多の別れや時代の流れの経験や、こんな体になった原因が自らの過ちであるという認識から、不老不死を半ば諦観と共に受け入れて生きていたが、トリシャと出会い、子供ができたことで、自分が老いないのに家族は老いていくという事実に自らが人ではないことを強く認識、恐怖を覚えるようになる。そのため家族、特に子供たちに必要以上に接触しないようにしていたが、妻トリシャの言葉で座して運命を受け入れるのではなく抗う道を歩む決意をする。身体を元に戻すために自室で必死に研究を続けていたが、ついに元の身体に戻るために旅に出る(「父」の目的に気づいたことも関係している)。アメストリス国内を転々とし、時に体に内包された賢者の石を地中に放つなど、未だ謎が多い。
名前の由来はパラケルススの本名から(実際にはもっと長かったが、作中ではホムンクルスに「長い名前を覚えられないだろう」と言われて短くなった)。
アニメでの設定
アニメ登場時、原作では未登場だったために、原作とは設定がかなり異なる。「光のホーエンハイム」と呼ばれ、幾度も別の肉体に魂を入れ替えることで約400年間ダンテと共に悠久の時を生きてきた錬金術師。ダンテよりは遅いものの不老不死の代償として肉体が生きながら腐り始めている(入れ替えた際の肉体は若干歳を取るのが遅いらしい)。原作同様に家族に対する愛情はとても深く、また、出奔の理由も大本の原因が違うとは言え、自身の身体を元に戻すためである。
終盤でエドの話をこっそり聞いた後、ダンテの説得に向かうが、逆に扉の向こうの「現実世界」に飛ばされる。最終回以降は、現実世界にやってきたエドと一緒に暮らし始め、和解もした。その後、劇場版ではエドを元の世界へ帰すために自分の命を投げ打った。
原作とは違い、少し女好きと言う傾向があり、トリシャの事を「生涯でただ一人愛した女性」と言っている割には、ロス少尉を口説いたり、ダンテとは元夫婦(愛人)関係だったりしている。
アニメでの本当の名は「ホーエンハイム・エルリック」だと推測される。

マスタング大佐とその部下

ロイ・マスタング(声:大川透
軍部の大尉(東部内乱時)→少佐相当官(イシュヴァール殲滅戦中)→中佐(エド国家錬金術師資格試験時)→大佐(現在)。アニメ版では一度准将に昇進するが、映画版では自ら伍長に降格。「焔」の二つ名を持つ国家錬金術師。1885年生まれ。30歳(第11巻より)。
女好きで職務怠慢ないい加減な性格に見えるが、実際には意志が強く食えない人物。女好きなのも、作戦や情報源の秘匿に使われている節があり一概に欠点とは呼べない。ただし、職務怠慢に関してはホークアイを怒らせている。自らが信頼する人間に見せる「目的最優先」と言い放つなどの厳しい発言とは裏腹に、いざ部下などの身内のこととなると自らの危険をも省みない行動に出るという情に厚い部分を見せる時もある。エルリック兄弟に対しても単なる利害関係の一致と距離をとるような言動を行うことがあるが、内心では気にかけている。またエドを「鋼の」と呼ぶのも特徴(原作者によれば、名前を覚えていないらしい。ただしアニメ版ではエドと呼んだ事がある)。
「大総統になる」という野望を抱く野心家で、かつ大変な理想家。元々民衆を守るという理想のために国家錬金術師資格を取得するが、イシュヴァール殲滅戦にて理想と現実のギャップを思い知る。それでもなお「理想を語ることをやめない」と決心を新たにし、「次の世代には幸せになってもらたい」という願いの元、国家体制の変革(軍国主義を変えるなど)を行うというために大総統を目指す。その結果としてイシュヴァール戦の正当性が問われ、自身が裁かれる可能性も覚悟している。また、後に親友であるヒューズの仇を取るという目的も加わる。
錬金術師としての能力は二つ名の通り、焔(炎)である。また、その資質はホムンクルス達に「人柱候補」の一人として目をつけられていることからもわかるように高い。燃焼の三要素である燃焼物・酸素・点火源を錬金術によって生成(用意)することで炎を起こす。具体的には、対象を燃焼物とし、錬金術で酸素濃度を調節、そこに発火布(強い摩擦で火花を発する特殊な布)で作られた手袋を使い点火して炎を起こす。その性質上水に弱く、雨の日は不発、また発火布が湿ることで点火源が用意できないこともある。単純に水だけなら、酸素と水素に分解し爆発を起こすことも可能。点火源もライターなどで代用できる。イシュヴァール戦での経験から、炎の発生範囲を自由に調節できるようになる。能力自体が後方支援向けだったり、そもそも司令であるため後方待機であることが多い。また、軍人としては、イシュヴァール戦でより多くの仲間を守った事などから「イシュヴァールの英雄」とも呼ばれる。言動には兵法書(孫子)からの引用もあり、兵法にも通じているらしい。対してイシュヴァール殲滅戦でのイシュヴァール人を使った人体実験に参加したことが心の闇となっている。
ホークアイとは軍に入る前からの関係で、彼女の父親は自身の錬金術の師匠。また、東方司令部所属時の上司だったグラマンはホークアイの母方の祖父にあたり、彼女の親族とは何かと関係が深い。師亡き後、イシュヴァールの戦地で軍人として再会。戦後は忠実な部下として、他の直属の部下であるハボック達とは一線を画す位置にいる。ホークアイがナンバー66に抱きつかれた場面での態度や、アームストロング家に仕える自称・花屋のおばちゃんから大量に花を買った際の処分を求める為に彼女にプライベート内容と思われる電話をしていた等のことから、彼女に部下以上の想いを抱いているようにも見えるが、その真意は今のところ不明。
ホムンクルス達の策略を上手くかわし、逆に軍内での地位獲得やラストを倒すことに成功するが、それが結果としてハボックの傷病退役や直属の部下の地方司令部異動、特にホークアイを大総統府所属にするという事実上の人質にされるなど、ブラッドレイに封じ込められた状態に置かれている。現在はグラマンに援助を求めたり、逆にホークアイを使って大総統府を探らせようと考えているが、結果はあまりよくない。
名前の由来は米軍の戦闘機P-51マスタング。
アニメでの設定
特筆すべき点としてロックベル夫妻がグラン准将の命令によって彼に射殺されたことになっている。これが彼にとって根強いトラウマとなり、拳銃が威嚇程度にしか使えなくなってしまった。物語終盤ではブラッドレイ(プライド)と戦い、なんとか勝利するも、直後にアーチャーに左目を撃たれて失明し、ブラッドレイと同じく眼帯を着用することになる。劇場版では准将の地位を捨て一兵卒となって北方に駐屯した(錬金術も使用していない)。原作よりもリザと親密であるかのように描写され、恋人同士に見えるようにされていたが、水島監督は2人の恋愛に関して(OVA収録の「宴会編」でも)否定的な発言をしている。
リザ・ホークアイ(声:根谷美智子
軍部の中尉。マスタング大佐の部下。後に大総統付き補佐に配属。
金髪に鳶色の目という容姿端麗な女性。性格は仕事中は常に冷静沈着で、よほどのことが無い限り感情を表に出さない。一転して、プライベートでは笑顔のシーンも多く、引き取り手のいない仔犬(後のブラックハヤテ号)を引き取るなど、根はごく普通の優しい女性である。欠点はネーミングセンスの悪さ。類稀な射撃の腕前を持ち、士官学校時代から戦線に配置された。名前と、その正確無比な狙撃から「鷹の眼」の異名を持つ。常に銃を二丁携帯し、普段はFN ブローニングM1910エンフィールドNo.2を装備している。本人が銃を愛用するのは、本人曰く「人の死に行く感触が残らないから」。だがこれを欺瞞であると指摘され、自身もそれを否定しなかった。
マスタングとの関係は単なる上司と部下というだけではなく、彼が錬金術師である父の弟子であったことに起因する。この頃の彼女は今と違いか弱い臆病な少女であった。父の死で一旦マスタングとの関係は切れるが、イシュヴァール戦にて再会し、終戦後はマスタングの部下となる。背中には父の秘伝の錬金術の暗号が刺青として記されていたが、イシュヴァール戦後にその破棄を望み、マスタングの手によって一部焼き潰してもらった。マスタングが死んだと聞かされた時の取り乱し様や、セリム(プライド)から圧力をかけられ、精神的に弱っていた際にかかってきたマスタングからの電話により平常心を取り戻しほっとした表情を浮かべていることなどから、上司以上の想いを抱いているようにも見えるが、真相は今のところ不明。現在はブラッドレイにより、マスタングへの圧力として大総統付き補佐となり、実質的な人質となっている。さらにセリムの正体(プライド)を見抜いてしまったために、彼からも圧力をかけられる立場となっている。
元々の髪型はショートだったがウィンリィの影響を受けてなんとなく髪を伸ばしたエピソードがある。そのウィンリィとは仲が良い。また、東方司令部司令官のグラマンは母方の祖父にあたる。非常にスタイルが良く見えるが、作者曰く「(軍人の為身体を鍛えているので)肩幅が広く、(そこそこの年齢だから)お尻が大きいため、腰が細く見える」らしい。
巨尻なのでオナラが強烈に臭い。最終兵器並みの臭さである。その臭いはスカンクをも超える。
名前の由来は米国グラマン社製早期警戒機E-2ホークアイからかと思われる。
ブラックハヤテ号
ホークアイの飼い犬。
仔犬の頃、捨てられていたのをフュリー曹長に拾われ、最終的にホークアイによって飼われることになる。厳しいしつけのためか勇敢に育ち、主人のピンチの時にはグラトニーに噛み付いたりした。愛称は「ハヤテ号」「ブラハ」。名前の由来は日本の戦闘機・疾風
ジャン・ハボック(声:松本保典
軍部の少尉。マスタング大佐の部下。後に退役する。
のらりくらりとした性格で部下と見た場合には上官の受けは悪いが、勤務態度は模範的でよく働くので上官と見た場合には部下からの信頼は厚い。くわえ煙草がトレードマーク。自他共に「頭は悪い」と言うが聡明であり、探りを入れるラストに重要なことは絶対に話さない。また、戦闘などの実務能力も非常に高く、実戦ではマスタングを補佐するホークアイに次ぐ部下。なお、同僚のブレダとは士官学校の同期。
イケメンであるが、どういうわけか女運が非常に悪い。彼女ができるもセントラルに異動になった事でフラれ、アームストロング少佐の妹であるキャスリンと見合いをしては「理想は兄である」とフラれ、セントラルでできた彼女のソラリスは、マスタングを諜報するために近づいたラストだったなど、かなり悲惨な目に遭っている。デートの前には必ずタバコを消すなど、女性に対しては紳士的な面を見せる。好みはボイン。
上司のマスタングに絶対の信頼を寄せているというわけではないが、マスタングはあまり態度の良くないハボックの能力・内面を素直に評価しており、故に本人もそれなりに順応な態度を見せているため、親友の様な間柄。ラストとの戦闘の際に負傷。マスタングの機転により一命を取り留めるも、ラストの爪による刺しどころが悪く脊髄を損傷し、下半身不随となり軍を退役。しかし、諦めていないことから現在リハビリを行っている。
名前の由来は米軍のA-20ハボック、もしくはロシアの攻撃ヘリコプターMi-28からと思われる。
アニメでの初登場は国家錬金術師試験及びタッカーのキメラ事件で当時の階級は准尉。ブラッドレイ暗殺を画策するマスタングが偽りの遠征および反乱を計画した際には、影武者になる。
ハイマンス・ブレダ(声:志村知幸
軍部の少尉。マスタング大佐の元部下。 
背は低いが恰幅の良い体型。そんな見た目とは裏腹に頭脳派であり、士官学校を首席で卒業した。同僚のハボックとは士官学校の同期。ルガーP08を愛用。戦略担当である。ぞんざいな言葉遣いだが、実際は仲間思い。大の犬嫌いで、子犬のブラックハヤテ号にも怯える始末。何かしら食べているシーンが多い。
現在はブラッドレイにより西方司令部に異動。
名前の由来はイタリアの兵器メーカー「ブレダ社」からと思われる。
ヴァトー・ファルマン(声:室園丈裕
軍部の准尉→少尉(原作第65話~)。マスタング大佐の部下。
長身で頬が痩せこけている。特技は歩くデータベースの如き記憶力。元々は北部出身。東部へと転属されマスタング大佐の部下になる。その記憶力からナンバー66の尋問を担当したが、そのせいでナンバー66を見張る役目を仰せつかることになる。
記憶力はすごいのだが戦闘に対しては現場慣れしてないらしく、覆面をしたハボック(=素性を隠している)に誤って名前を言ってしまうなどのドジも多い。ブラッドレイにより北方司令部に異動。現在は少尉に昇進できたものの、更に北のブリッグスに飛ばされ、氷柱落としをしている。どこかついていない点はハボックにも負けていない。
名前の由来はフランスの航空機メーカー「ファルマン社」。
アニメでの初登場は列車ハイジャック事件。当時は調査部に所属しており、その後はマスタングの配下に異動となる。かつての上司であるヒューズの死を気にかけており、マスタングの中央転属の際は辞令が下る前に自分を一緒に連れて行ってほしいと嘆願している。
ケイン・フュリー(声:白鳥哲
軍部の曹長。マスタング大佐の元部下。
童顔に眼鏡の青年。他のマスタング部下達とは違い一般兵募で入隊。穏やかかつ優しい性格だが気が弱い。通信機器のスペシャリストでホムンクルスを誘き出した時は外部通信を一人で担っていた。また中央の無線のチャンネルを全て知っているなどその知識と技術は馬鹿には出来ない。捨てられていたブラックハヤテ号を拾ってきた張本人。
現在はブラッドレイにより南方司令部に異動。激戦地のまっただ中にいる。
名前の由来は英国ホーカー社の戦闘機「ホーカー・フューリー」。
アニメではブラッドレイ暗殺を画策するマスタングが偽りの遠征および反乱を計画した際には、ハボックと同じくホークアイの影武者を務めた。

軍人

キング・ブラッドレイ(声:柴田秀勝
軍部の大総統。現在60歳。
アメストリス軍の最高責任者で、国政の実質的な決定権を持つ事実上の国家元首。戦場で数々の武功をたて、弱冠44歳で独裁者へと成り上がった。左目に眼帯をしている。彼が大総統に就任してからは、国家錬金術師制度の導入、より中央集権的な体制への編成など、アメストリスをより軍事国家として編成していく。
その正体はホムンクルス(ラース)であり「父」の計画に沿って国家の舵を取っている。若くして大総統の地位に付けたのもそれが関係している。完全なリアリストでありながら、好々爺然とした紳士という面もあるという二面性を持つ。物語序盤では最高権力者にも関わらず、仕事から抜け出して一人でこっそりエドのお見舞いに行ったり、護衛一人だけでエドを追いアロハシャツ姿でダブリスに行くなどと、その軽さが際立つ。しかし、グリードとの戦闘でホムンクルスと判明してからは、リアリスト的な独裁者としての面が浮き彫りになっていく。
元は普通の人間。ホムンクルス達の計画のために、幼少時よりエリートとして養成された大総統候補生の一人であり、体に賢者の石を注入されホムンクルスとなる。名前の「キング・ブラッドレイ」はこの時に付けられた偽名である。人間ベースのため、他のホムンクルス達とは違い人間と同じように老化し、そのため身体能力に若干の衰えがある。他のホムンクルス同様にホムンクルスであることに誇りを持ち、人間に対しては軽蔑の念を持つものの、度々語られる自身の人生観・宗教観などの思想信条には他のホムンクルスとは違った面もある。単純に人間を軽蔑しているとも言い切れず、「自らを打ち倒しにくるものは人間」という発言、エドやマスタングの反逆や、リンやオリヴィエの目的への執念を気に入ったり、楽しんだりしている様子を見られ、その真意は不明。
人を見抜く目は確かであり、イシュヴァール戦で既にマスタングに目をつけていた。ラストがマスタングに倒されてから「父」に自分をマスタングの担当にするように進言し、その後は、マスタングへの圧力を強めていく。特にグラトニーが捕まってからは、マスタングの直属の部下達を地方に飛ばし、リザを自身の直属にするなど、その圧力をいっそう強めている。
戦闘は自身の能力を生かした剣術で二刀流。だが戦闘中は刀剣を五振り、背中につけた特別製の鞘で装備している。ホムンクルスとしての詳しい能力等はラースの欄を参照。
名前の由来は米陸軍のM2/3ブラッドレイ歩兵戦闘車からと思われる。
アニメでの設定
アニメでの正体は「プライド」である。原作に比べるとリアリストというよりも単に冷酷な性格。また、ホムンクルス内での序列は、原作のプライドとほぼ同じ位置にいる(詳しくはプライドのアニメの欄を参照)。
マース・ヒューズ(声:藤原啓治
軍部の大尉(イシュヴァール戦時)→少佐中佐。その後、殉職による二階級特進で准将。元軍法会議所勤務。ロイの親友。1885年生まれ。
家族を溺愛しており、所構わず家族の写真を見せびらかしたり、娘自慢やのろけ話のために軍の回線を公然と使用するなど、極度の親バカ・愛妻家。そのため、しばしば周りに迷惑をかけるものの、同時に気遣いや優しさを家族同様にかけるために、周囲の人物からは非常に慕われていた。エルリック兄弟に対しても何かにつけ気にかけたり、初対面のウィンリィを自邸に泊まらせ、娘の誕生日会に誘うなど、面倒見の良い人物であった。頭の回転が早く、見た目はデスクワーク派であるが、暗器にも酷似したナイフの達人でもある。イシュヴァール殲滅戦の回想では前線で戦い銃も使用していた。
ホムンクルスの目的に気付いたために命を狙われてしまい、最期は妻のグレイシアに化けたエンヴィーに撃たれ殉職。享年29歳。彼の死はエルリック兄弟やウィンリィ、マスタングらの心に大きな影を落とした。原作では結果として2巻から4巻のみという非常に短い登場であるが、人気は根強い。後にイシュヴァール戦の回想に登場したりするなど、死してなお物語に対する影響力を持っている。
名前の由来は米国の航空機メーカー、ヒューズ・エアクラフトからと思われる。ちなみに本当は「フォッカー」という名前にする予定だったそうだが、一足先に登場したショウ・タッカーと語感が似ているため、変更になった(代わりにフォッカーは、原作でヒューズの部下の名前として使われている)。
アニメでの設定
原作では彼とエルリック兄弟の出会いは一切描かれてないが、アニメでは「青の団」による列車ジャックがきっかけとなっている。ちなみにその当時の階級は少佐で、調査部員として要人警護やセントラル市内の犯罪捜査などを任務としていた。また、イシュヴァール戦においては原作が前線で戦ったのに対し、アニメでは後方の任務を行っていた。原作同様エンヴィーに殺されてしまうも、その後は兄弟が乗った列車の通過駅のホームに手を振る彼の幻影が現れている。
アレックス・ルイ・アームストロング(声:内海賢二
軍部の少佐。「豪腕」の二つ名を持つ国家錬金術師。
鍛え上げられた逞しい肉体と立派なヒゲ、個性的な髪の毛がトレードマーク。事あるごとに軍服を脱ぎ捨て、その肉体を披露したがる癖を持つ。錬金術も錬成する対象物を錬成陣の書き込まれた手甲で殴りつけるというパワフルな物である。いかつい外見とは裏腹に感動癖で涙もろく、優しい性格。そのため、イシュヴァール戦では軍令に背き、デビルズネスト掃討戦ではロアに説得を試みるなど、敵であっても冷酷に徹しきれない。この軍人に不向きな点に関してブラッドレイから「だから出世できないのだ」と指摘され、実姉のオリヴィエからは嫌われる要因となっている。このことを理解しているマスタングより、ホムンクルスと軍部の関係を聞かされた後に除隊を勧められるが、イシュヴァール戦時のように逃げたくないとしてこのまま軍に身を置くことを決意した。
元々はヒューズの補佐であったが、ヒューズの死後は大総統護衛を務めるなど、軍内での役職は不明。直属の部下には、マリア・ロスとデニー・ブロッシュがいる。マスタングのセントラル異動後は、マスタングとエルリック兄弟の伝令役などを行っている。エルリック兄弟に対しては極めて協力的であり、姉への紹介状を書いたり、人体錬成を行った過去も咎めるどころか、愛情が起こした結果として逆に感動していた。
代々将軍を輩出した名家の出身だが、出自を鼻にかけることはない。「我がアームストロング家に代々伝わりし~(芸術的錬金術、似顔絵術、尾行術、以下略etc…)!!」が口癖で、風貌に似合わず器用で多芸多才。家族では姉妹も多く、姉3人と妹の5人姉弟(兄妹)。特にアームストロング家の長子であり長姉のオリヴィエは「ブリッグズの北壁」の異名を持つ少将である。
名前の由来は英国の兵器メーカー、アームストロング社。または、ミドルネームの「ルイ」はアメリカ人ジャズミュージシャン「ルイ・アームストロング」からと思われる。
アニメでの設定
原作ではギャグ要素である感動癖の性格がかなり抑えられている。劇場版では退役し、アームストロング財団を継ぎ、リオールの町の復興に全力を尽くす。
ゾルフ・J・キンブリー(声:うえだゆうじ
軍部の少佐(イシュヴァール殲滅戦時)→中佐。「紅蓮」の二つ名を持つ国家錬金術師。
表向きは物腰の柔らかい紳士然とした人物だが、人を殺すことに美意識を見出すサイコパス。ただし、単なる快楽殺人鬼というわけでもなく、独特の価値観と共に殺しにも理念を持ち、自らが殺した相手を記憶していたり、「意志を貫く人は好き」とロックベル夫妻には敬意を払い、始めから二人を殺す気は無かったような発言もしている。自身はこの世界にとって異端の存在であると自覚しており、それ故に前述のような紳士を演じている。また、異端であるがゆえに、感情論に左右されない、合理的かつ正論に近い考えを示すこともある。後述するホムンクルスへの協力についても(人間とホムンクルスの戦いに対して)「大きな世界の流れの中でどちらが生き残る力を持つのか(観てみたい)」と述べたり、己の存在の是非を賭けているなど、レイブンを始めとする通常の人間の協力者とは一線を画す。戦闘に関しては普段から頭が切れる他、相当に場慣れしているために強い。
錬金術は掌に刻まれた錬成陣を合わせて対象物に触れることで、それを爆発性のある物質へ作り変えるというもの。その爆弾の能力と爆発に対する造詣から「爆弾狂のキンブリー」と呼ばれる。イシュヴァール殲滅戦では上官から「賢者の石」を貸与され、それにより大きな戦果を上げる。しかし、終戦後、「賢者の石」の返還を渋り、返還を迫った上官を爆殺した。その一連の行為によりエンヴィーに気に入られ、自らの特性を最大限にバックアップしてくれるとホムンクルスの協力者となる。建前は上官殺しのため服役していたが、「傷の男」の抹殺と逃亡の疑いのあるマルコーの捕獲(それに伴う報復として村の抹消[1])のため出所。「傷の男」とは出所後、早々に戦うことになるが敗北する。現在はブリッグズ要塞で「傷の男」を捜す傍ら、エルリック兄弟への牽制も行う。牽制材料のウィンリィに対しては、ロックベル夫妻の娘であるということと、その前向きな姿勢により気に入った様子。
原作ではある種のアンチヒーローとして描かれているが、アニメでは爆発以外に特別な理念を持たず、ただ人を殺せれば良いといった様な快楽殺人的傾向、バリー(ナンバー66)に近いキャラクターとなっている。
アニメでの設定
アニメでは当初はグリードに助けてもらい共に行動するが、接触したアーチャー中佐に軍への復帰を条件を出され、あっさりグリード達を裏切る。その後は、アーチャーの部下として活動を行う。リオールで「傷の男」と戦い、「傷の男」の左手を爆弾に錬成することに成功するも、自らの左手を分解した「傷の男」に怯み、その隙に胸を貫かれる。死に際、二人が油断した隙にアルの体を爆弾へと作り変え息絶える。
マリア・ロス(声:斎賀みつき
軍部の少尉。アームストロング少佐の部下。
黒髪でショートヘアの女性。左目の下に泣きボクロがある。アームストロング少佐の代わりとして、ブロッシュ軍曹と共にエルリック兄弟の護衛を勤めていた。エドとアルのことを大切に思ってくれている。
原作ではエンヴィーがヒューズ襲撃時に彼女の姿で行動していたことと、第五研究所で発砲した弾丸が発見されなかったことから濡れ衣を着せられ、ヒューズ中佐殺害事件の重要参考人として逮捕される。その後バリー(ナンバー66)の手で助け出され、マスタング大佐の偽装工作によりマスタングに焼き殺されたことにされる。その後、マスタングやリンの手引きで、フーと共にシン国に亡命。自分が生きていることを両親にも秘密にし、有事の際にはすぐに駆けつけると約束するなど、覚悟のある人。年齢は24,25歳らしい(ラフ画集)より。
アニメでの設定
アニメでは赤い水に反応して暴走してしまったエドを抱きしめることで抑えたりした。また、怪我をしても懲りないエドに愛情を持った感じで叱るなど、エドの母親代わりのような部分もあった。さらに、エルリック兄弟が軍に追われていたときに、彼らのことが気になり、ブロッシュと一緒にリゼンブールに休暇と称して出かけたりもした。その際には、ホーエンハイムに口説かれ、結構その気になっている等、男性に関してはかなり免疫が薄い一面もある。
デニー・ブロッシュ(声:原田正夫
軍部の軍曹。アームストロング少佐の部下。
真面目だがノリの良い性格。他人の色恋沙汰に口を出すためにエドには「色ボケ」軍曹と呼ばれる。ロス少尉と共にエルリック兄弟の護衛を勤めていた。ロス少尉に密かに想いを寄せているが、男性に疎い彼女にはその想いは届いていないようである。原作では彼女が捕まったときアリバイを証明しようとしたが、門前払いされる。感情がすぐ顔に出るらしく、故にロス少尉の生存を知らされていない。ゲーム版では意外にも逞しい肉体を披露している。
名前の由来はフランスの航空機メーカー、ブロッシュ社。
シェスカ(声:若林直美
階級は不明(軍服を着ているが、正式な軍属かも不明)。元国立中央図書館勤務。後に軍法会議所勤務。ヒューズ中佐(准将)の部下。
かなりの読書家で通称「本の虫」。臆病な性格で自分に自信が持てず、エド達と会うまでは自分の力をまったくの役立たずだと思い込んでいた。アルに自信を持つように言われてからは、自分に自信が持てるようになった。
読書が趣味の範疇を超えているほど、本が好き。読んだ本の内容を一字一句すべて記憶する特技を持っている。原作ではその本好きが高じて国立中央図書館第一分館に勤務していたが、逆に本好きのせいで勤務中にも関わらず蔵書を読んでいてクビになった。ラストによる第一分館の放火で、エド達が捜していたマルコーの書類が焼失。それを復元したことがきっかけでヒューズ中佐により軍法会議所に就職する。ヒューズ死後は、中央に配属になったマスタングに対して書庫をこっそり開放するなど協力している。
アニメでの設定
アニメではヒューズの死に疑問を抱き、独自に調査し始める。かなり物語の核心近くにまで触れ、ウィンリィと一緒に軍の中枢に潜入したこともあった。その際には危うくスロウスに殺されそうになる。

傷の男とその一行

傷の男(スカー)(声:置鮎龍太郎) 
イシュヴァール人。
イシュヴァール人特有の褐色の肌に赤い瞳、額に十字の傷、「分解」の錬成陣の刺青が彫られた右腕を持つ男。イシュヴァール殲滅戦にて、兄や同胞を殺された恨みから、国家錬金術師を殺し回っている元イシュヴァラ教の武僧。普段はサングラスを着用して赤い瞳を隠して行動している。「スカー」という名前は額の傷から軍部が付けた通称名であり、本名は今のところ明かされていない。本人曰く、復讐のために名を捨ててきたらしい。見かけによらず可愛いもの好きで、猫派。
「単身でアメストリス兵十人分の戦力に匹敵する」と言われる武僧の一人であったことからも明らかなように、もともと並外れた体術を持ち、さらに後述する移植された右腕により、錬金術の「分解」を行うことが可能(アニメ版では錬成もできた)。これらを利用することで人体や物を破壊する攻撃を得意とし、作中でもトップクラスの強さを誇る。ちなみに、彼の腕に刻まれた錬成陣はシン国由来の陣に彼の兄がアレンジを加えた物であり、正確には錬丹術に属する。そのため、「父」によって全ての錬金術を封じられた際も、メイと共に錬成が可能だった。
イシュヴァラの教義から元々錬金術を嫌っており、錬金術を研究している兄に反抗的であった。イシュヴァール殲滅戦にて親族と共にキンブリーの攻撃を受ける(額の傷はこの時のもの)が、その際に兄が盾となって庇ったため、彼は即死せずに済む。しかし、右腕を失うほどの酷い重傷を負って意識を失ってしまう。その間に兄は彼の命を救うために、「分解」の錬成陣が彫られた自らの右腕をスカーへと移植する。これが結果として錬金術を憎みながら錬金術で殺人を行っていくという矛盾を起こすきっかけとなる。そして、ロックベル夫妻の診療所に運ばれ夫妻の治療を受けるも、意識が戻った瞬間に怒りと錯乱から2人を殺してしまい、これが後々、後述するウィンリィとの関係の中で復讐の意義について考えさせられることとなる。
エルリック兄弟とは原作・アニメ共にショウ・タッカー殺しの後にエドワードを狙ったところから関係が始まる。当初は、国家錬金術師と復讐を行うイシュヴァール人という程度の関係でしか無かったが、後にウィンリィの両親を殺害した犯人とわかってからはエド達も積極的にスカーを捕まえようと奔走するようになる。結果としてウィンリィとも対面することになり、かつてのロックベル夫妻殺しの罪悪感を感じるも謝罪はせず、「お前には俺を撃つ権利がある」と言った上で「ただし撃てばその瞬間に敵とみなす」と開き直り、彼女を殺そうとするという暴走寸前の行為をした。その場はエドが割って入って事なきを得たが、それ以来ウィンリィへの贖罪と信念を曲げた自分への怒りが芽生えたらしく、ブリッグズで再びウィンリィと対面した際には、(エド達に拘束され逃げようが無かったこともあるが)一転して自らの死を持ってその罪を償おうとした。対して自分を殺すことを拒否した彼女に「俺をゆるすのか」と問い、「理不尽はゆるしていない」と言われて大きな衝撃を受ける。
一連のウィンリィとの出会いにより(貧民街で再会した師に復讐の無意味さを説かれたことも関係しているが)、当初の自分の復讐こそが絶対の正義という考えは改めた様子で、マイルズに対しても「お前のような奴が居てくれて良かった」と述べている。そして、そのウィンリィがホムンクルスとキンブリーに命を狙われている事を知ると、ブリッグズ砦に着くまでの間、彼女を護る事をエドと約束した。
ホムンクルス達のアジトに潜入し、イシュヴァール戦の真実を知ってからは思う所があるらしく、かつて兄の研究書を隠した北へと向かう。そこでついにエド達に捕まることとなるが、キンブリーを始めとするホムンクルス達に対抗するため一時的に協力関係を築く。物語の進展と共に一緒に行動する人物ができ、現在はヨキ、メイ・チャン、マルコーを連れている。特にマルコーについては激しい怒りを持っているが、マルコーの懺悔と兄の錬金術書の解読のための必要性から一緒に行動している(詳しくはマルコーの欄を参照)。
アニメでの設定
キンブリーを倒した後、最後の足掻きで爆弾に変えられたアルを助けるため、リオールの街に書いた錬成陣を使い、突入した7000人近い兵士と自らを代価に、アルの鎧を賢者の石へと錬成し消滅した。原作よりも年齢が若く設定され、強面気味な顔立ちも二枚目になっている。同時に性格も、アルと行動を共にしたり彼を守ろうとするなど、比較的丸い。そしてゲーム版では更に意外な一面を見せている。兄のことを原作では「兄者」と呼んでいるが、アニメでは「兄さん」と呼んでいる。
ヨキ(声:矢尾一樹
元軍部の中尉。
自身の出世に精力を傾ける小悪党。もともとはユースウェルの一炭鉱主。出世欲に駆られて軍に入り、中央の高官に賄賂を贈ることで地位を得ていた。炭鉱の経営権を握っていることをいいことに、さらに賄賂を増やして地位を上げようと炭鉱の人たちを重税で苦しめる。しかし、エドに騙され炭鉱の経営権を奪われた上、東方司令部に悪行を報告されて今までの地位を全て失う。その後は、イシュヴァールの貧民街に拾われるも、かつての地位へ返り咲くために貧民街の掟を破って「傷の男」の居場所を売り渡したために、住民により袋叩きの末に追い出される。そして半ば脅迫に近い形で「傷の男」のお供となり、こき使われている。
良い所は極めて少ないが、炭鉱経営者であったために鉱山については詳しく、キンブリーから逃げる際には地下坑道を使うことを提案し、先導するといった活躍を見せている。また、「傷の男」を心配するような発言もしており、徐々に性格が良くなってきているかのような描写もある。
余談ではあるが、本人とは別に「ヨキ2世」という人物が存在し、47年前まで生きていたらしい。また、作中の背景に「ヨキサーカス」というサーカス団のチラシが出ているがこのサーカス団との関係も不明。背景にさりげなく色々なオマケ要素を盛り込む、作者の遊び心から描かれたものと思われる。おまけ四コマでは様々な職業や役柄で登場したりとある意味作者とアシスタントに愛されているキャラクターでもある。
登場人物を人相学的に分析した企画では、出世しない顔の特徴を色々と備えている、キング・ブラッドレイとは逆の要素を持った顔だと分析されている。
アニメでの設定
アニメではライラの元主人。エドに嵌められた後、貧民街で辛くも暮らしていたが、中盤でホムンクルスの策略に嵌り、変装したラストに殺された。原作とは違い、哀れな小悪党というイメージが強くなっている。
ティム・マルコー(声:戸谷公次
「結晶」の二つ名を持つ元国家錬金術師。
白髪が目立ち始めた優しそうな小柄なおじさんという風貌の男。もともと悪事を成すというタイプではなく、イシュヴァール戦での罪悪に悩み、「傷の男」と出会った際には自らを殺してくれと懇願する程であった。賢者の石の製作では主要な立場にいたこと、人柱の候補者にされていること、ホムンクルス達の企みにある程度に気づいていることなどから、錬金術師としてはかなり有能な人間と推測できる。
もともとは軍の錬金術研究機関にて賢者の石の製作に関わっていたが、賢者の石の材料が生きた人間だったことや、その試作品がイシュヴァールにて殺戮兵器として使用されたことに耐えられず、資料と試作品を持ち出し軍から逃亡。その後は「マウロ」と名を変えて、田舎の町医者として穏やかな生活を行っていた。ある日、偶然にもエドワード達と出会い賢者の石の秘密を示唆する。しかし、同時にラストにも見つかり、町を人質に監視される。エドワード達によるホムンクルス捕獲作戦後には、エンヴィーらによって無理矢理連れて行かれ、ホムンクルス達のアジトに幽閉される。その後、アジトに潜入したスカーと会い、懺悔を兼ねてイシュヴァール戦で見てきた真実を話す。その後、「傷の男」の策により自分の死を偽装してアジトより脱出。イシュヴァール戦の証人として、また兄の錬金術書の解読のため、「傷の男」一行と行動を共にする。その際に、顔面の表皮のみを破壊されて顔を変える事になる。
アニメでの設定
アニメでは、軍の被害者という側面が強調して描かれている。田舎町で平穏に暮らしていたが、軍によって強制的に連れ戻される。最期はグラトニーに喰われた。
メイ・チャン
シン国の第十七皇女。錬丹術師。メイ・チャンの項目を参照。
シャオメイ
メイのお供。シャオメイの項目を参照。

シン国人

隣国シンから不老不死の法を求めやってきた者達。

リン・ヤオ
シン皇帝の第十二子。ヤオ族代表。15歳。後に2代目グリードになる。
50万人からなるヤオ族の出身。現皇帝が病に臥せった事を機にヤオ族の地位を引き上げ、そして次の皇帝に指名されるために不老不死の法を求めてアメストリス国へと不法入国してきた。普段は護衛役のランファンとフーを連れているが、身勝手な行動でしばしばはぐれる。エドと同じ歳だがエドより背が高く細目でフケ顔であるために少年と見られない事が多い。
性格は極めて陽気で常に笑顔であるが、目的のために手段を選ばず、非常事態には冷静沈着で真剣な顔を見せる。皇帝になる野望も、ヤオ族やシン国のことを真剣に思い真面目に考えている。また極めて部下想いであり、後述のホムンクルス化にしても自分のために腕を捨てたランファンへの忠義に報いるためだとしているなど、総じてマスタングに通じるところがある。関連して、ブラッドレイには国を統べる者が他者を簡単に捨てることに激しい怒りを示し、逆にブラッドレイはその思想信条を青臭い理想論だと述べた。
卓越した体術の持ち主で、また青龍刀を用いブラッドレイと渡り合える程の剣術使いでもある。さらに気の流れを読めるため、身体に複数の命を持つホムンクルス達を探知でき(ただし、人間ベースのブラッドレイには命が1つしか無いため察知できなかった。)、ホムンクルスとの戦闘を有利にしたこともあった。
不法入国後、ラッシュバレーで行き倒れていたところをエルリック兄弟と出会い、彼らが不老不死の鍵(賢者の石)について知っている事を感じ、以後、エルリック兄弟に強引に同行する。セントラルでは、ホムンクルスの再生能力に目をつけ、エルリック兄弟・マスタングと共同戦線を張ってこれを捕まえるが、グラトニーの暴走により一転して窮地に立たされる。結果として「父」の元へ辿り着くが、賢者の石(強欲)を注入され人間ベースの新たなグリードとなる。ただし、リンの魂は未だ残っており、グリードの魂と共存し、ゆくゆくは乗っ取ろうと目論んでいる。そのことを知るブラッドレイからは一転して気に入られる結果となっている。
臣下を守る信条とはいえ、他と比べ何かとランファンを特別扱いしていることがあり、臣下以上の想いを持っている節があるが詳しくは不明。
ランファン(蘭花)
リンの家系に代々仕える家系の娘。
素顔は非情に麗しい美少女だが、内気な性格で素顔を見せることを嫌い、常に黒い仮面が手放せない。リンやフー同様修錬を積んだ達人で、苦無を使った戦法を得意とする。リンを心底から敬愛しており、彼の悪口には一切容赦しない。そのため、リンに対する態度と他の人物(特にエドとメイ・チャン)に対する態度には天と地ほどの差がある。グラトニー捕獲の際にラースの奇襲を受けるが、負傷した自らの左腕を切断し、それを囮に逃走に成功する。しかし、ダメージが大きく戦線離脱。失った左腕の代わりに機械鎧を希望、その入手とリンの奪還のため一時セントラルを離れる。余談であるが、斬り落とした左腕はブラッドレイが回収しており、彼自身もランファンの決死の作戦に敬意を表している。
フー
リンの家系に代々仕える老人で、ランファンの祖父。
白髪白髭の老人であるが、卓越した体術を誇り、薄刃刀を使った戦法を得意とする。一応リンのお目付け役ということになっているが、よく見失っている。普段はランファン同様に仮面をつけている(彼のは白い)。孫娘のランファンに対しては、主人であるリンを守れなかったことに対して師として厳しく当たると同時に腕を無くした孫娘を心配するという祖父としての深い愛情も持つ。
ロス少尉の亡命の手助けで一時期アメストリスを離れる。アメストリスに戻って来た後は、リンの奪還とランファンの機械鎧を得るため、孫と共にエド達とは別行動を取る。
義理堅い人物であり、孫娘の手当てをしてくれたノックスには手を合わせて感謝している。また理知的な人物でもあり、エドがランファンの機械鎧に関してウィンリィを紹介しようとした時も、提案に感謝した上で「軽々しく動いては共倒れになってしまう」と申し出を断った。
メイ・チャン
シン国の第十七皇女。錬丹術師。
シン国で弱小のチャン族の出身。リンとは異母兄妹にあたる。リンと同じく、自らの一族の地位を引き立ててもらおうと、不老不死の法の手がかりを錬金術に求め、ペットのシャオメイとともに砂漠を越えてアメストリスにたどり着く。リン達とは違い護衛も無く、東の大砂漠も仲介者無しで自力で横断してきたみたいであるなど、リン率いるヤオ族と比べるとチャン族の弱小ぶりが見て取れる。未だ年端もいかない少女であるが、高度な錬丹術や体術を使いこなす。その反面、年相応に乙女心を持っていたり、思慮の浅い面を持ち、しばしば妄想して暴走する。
錬丹術の達人で通常の錬成はもちろん、様々な文字や模様の描かれた鏢(ひょう)を駆使することで遠隔錬成が可能。また、リン達と同じように気を読むことができることも彼女の能力の高さを示している。作中でも不意打ちとはいえ、エルリック兄弟を退け「傷の男」を助けたり、合成獣の群れ相手にいとも簡単に倒していくなどの活躍を見せる。ただし、イメージのセンスはエドと良い勝負。
東の大砂漠横断後、ユースウェル炭鉱にて炭鉱事故を自らの錬丹術によって解決。そこでエドの噂を聞き、彼を白馬の王子と勝手に想像して、エドを追いかけ始める。セントラルでひょんなことから、「傷の男」と行動を共にすることなる。現在は、北へと向かいマルコーと共に「傷の男」の兄が残した錬金術書の解読を行っている。また、エドの実態を知って落胆した後は、アルを慕い始めた。
シャオメイ(小梅)
メイのお供。彼女の肩に乗れる程の超小型の雌のパンダ。病気で大きくなれなかったジャイアントパンダの子供と説明されている。人間の言葉を理解する高い知能と、ビール程度ならジョッキで飲み干してしまう雑食性など、動物としては奇怪な行動が目立つ。またメイ同様に、気の流れがある程度感知できると思われる。
主人であるメイに忠実で、彼女の危機には身を挺して敵に噛み付いたりする。また、常にメイの動きとシンクロするような描写が見受けられる。傷の男捕獲作戦での混乱でメイとはぐれ、一時期アルと行動を共にした。
人間をランク付けしており、自分より下位と認識した相手には懐かない。シンのキャラでは唯一、原作以外(ゲーム『鋼の錬金術師3 神を継ぐ少女』)に登場している。

注釈

  1. マルコーが逃亡したことに関しては「傷の男」の偽装のためにホムンクルス側は確信しているわけではなく、そのため捕獲の任務はあくまで逃亡が事実ならばという条件付き

関連項目

テンプレート:鋼の錬金術師