NHKマイルカップ

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NHKマイルカップ(えぬえいちけい - )とは日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場1600mで施行する中央競馬重賞GI競走である。正賞は日本放送協会杯・日本馬主連合会会長賞。優勝杯を提供するNHKから冠名が付けられている。

概要

本競走は1953年から1995年までの43年間、クラシック競走東京優駿(日本ダービー)のトライアル競走として施行されていたNHK杯を前身とし1996年における中央競馬の番組改定で4歳(現3歳)の外国産馬が当時東京優駿へ出走できなかったため目標となる大レースが無く、そこで4歳(現3歳)の外国産馬の目標となる大レースを創設する目的で4歳(現3歳)牡馬牝馬限定の混合・指定の定量の重賞(GI)競走「NHKマイルカップ」として新設、第1回は現在と同じく東京競馬場の芝1600mで施行され4歳(現3歳)外国産馬最強決定戦に位置付けられた。

歴代優勝馬には日本調教馬で初めてフランスのGI競走モーリス・ド・ギース賞を制したシーキングザパールジャパンカップ1着・サンクルー大賞1着・凱旋門賞2着などの成績を残したエルコンドルパサーなど、日本内外の国際競走で活躍した競走馬が名を連ねる。

なお、NHKマイルカップという名称が決まるまではJRAからは「マイルダービー」という仮称で広報されていた。

東京優駿(日本ダービー)が外国産馬に開放されるまでの2000年まで通称マル外ダービーといわれ、事実上「3歳(旧4歳)外国産馬最強決定戦」と位置付けられていた。しかし2001年に外国産馬へのクラシック開放が実現すると本競走を東京優駿の前哨戦にする競走馬陣営もあり過去には第6回優勝馬クロフネ、第7回優勝馬テレグノシス、同3着馬タニノギムレット、第9回優勝馬キングカメハメハなどが本競走から東京優駿に出走しておりタニノギムレット、キングカメハメハは同競走で優勝をしている。

また近年では「なにがなんでも東京優駿(日本ダービー)へ」という考えから「競走馬に適した距離を使う」と馬主や競走馬陣営の考え方が変化したことにより近代競馬の流れによる競走馬の距離適性を優先したローテーションを重視することでマル外の最大目標という当初の位置づけから日本産馬、外国産馬を問わない3歳(旧4歳)マイル最強馬決定戦へとその位置付けが変わり近年では内国産の桜花賞優勝馬ラインクラフトが出走し優勝している。

桜花賞皐月賞優駿牝馬(オークス)・東京優駿(日本ダービー)・菊花賞のクラシック競走及び秋華賞のうちのいずれか2つのレースと絡めて、変則三冠競走と呼ぶファンもいる。

出走資格はサラ系3歳(旧4歳)のJRA所属の牡馬・牝馬の競走馬及び優先出走権及び出走権(ファルコンステークス・桜花賞・皐月賞の2着以内入賞馬及びマーガレットステークスの優勝馬)を得た地方所属の牡馬・牝馬の競走馬(5頭まで)でクラシック競走や天皇賞と同様、騸馬の出走は不可。なお、ニュージーランドトロフィーの上位3着までに入賞した競走馬は優先出走権で出走できる。

負担重量は定量で牡馬は57キロ、牝馬は55キロである。

総額賞金は1億7,420万円で1着賞金9,200万円、2着賞金3,700万円、3着賞金2,300万円、4着賞金1,400万円、5着賞金920万円と定められている。

現在の優勝レイは赤色地に金色文字で、「NHK」の部分はNHKの社名ロゴデザインがそのまま引用されている。

この競走のテレビ中継に関してはNHKが優先権を持って放送に臨んでおり、フジテレビ関西テレビは自局番組では単に「マイルカップ」と呼称し「NHKマイルカップ」の呼称を使い始めたのは創設4年後の2000年の第5回からのことである。なお、NHK杯は「ダービートライアル」と呼称していた。その影響もあり、フジテレビ系列でGI・JpnIのみ競馬中継を放送する局の中にはこのレースの時には放送しない局もある。フジテレビ系列で放映されたアニメ版『みどりのマキバオー』ではレースそのものが無かったことにされている。

1996年の第1回、及び2005年から2010年ではNHK交響楽団の金管メンバーが発走時のファンファーレを演奏している。

なお、本競走はサンデーサイレンス産駒が勝利していない数少ないGI/JpnI競走となっている。

主な前走

以下はNHKマイルカップに出走する競走馬の主な前走。

競走名 格付 団体 施行競馬場 施行距離 備考
1 毎日杯 GIII 中央 阪神競馬場 芝1800m   
2 マーガレットステークス OP 中央 阪神競馬場 芝1400m
3 ニュージーランドトロフィー GII 中央 中山競馬場 芝1600m NHKマイルカップトライアル
4 桜花賞 GI 中央 阪神競馬場 芝1600m  
5 皐月賞 GI 中央 中山競馬場 芝2000m

NHKマイルカップトライアルのニュージーランドトロフィーにおいて、上位3着までに入賞した競走馬には優先出走権が与えられる。

歴史

  • 1996年 - 東京競馬場の4歳(現3歳)牡馬・牝馬限定の混合・指定の定量の重賞(GI)競走「NHKマイルカップ」として新設。
  • 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走資格が「4歳牡馬・牝馬」から「3歳牡馬・牝馬」に変更。
  • 2002年 - 同時期に行われるくらやみ祭りの開催を考慮し、土曜日に変則開催される。
  • 2007年
  • 2009年
    • 混合競走から国際競走に変更され、外国調教馬は9頭まで出走可能となる。
    • 重賞格付け表記をGIに戻す。
    • 8位入線のサンカルロが、2度の進路妨害により18着に降着。
  • 2010年 - ダノンシャンティが1:31.4の日本レコードで優勝。
  • 2011年
  • 2012年 - 6位入線のマウントシャスタ(岩田康誠)が、進路妨害(被害馬のシゲルスダチは落馬競走中止。なお被害馬は異状なし、後藤浩輝騎手は頚椎捻挫を受けている[1])で失格。1991年に現行の降着制度が中央競馬に導入されて以来、中央競馬のGI競走で失格馬が出たのは史上初[2]

歴代優勝馬

回数 施行日 優勝馬 性齢 タイム 優勝騎手 管理調教師 馬主
第1回 1996年5月12日 タイキフォーチュン 牡3 1:32.6 柴田善臣 高橋祥泰 (有)大樹ファーム
第2回 1997年5月11日 シーキングザパール 牝3 1:33.1 武豊 森秀行 植中倫子
第4回 1999年5月16日 シンボリインディ 牡3 1:33.8 横山典弘 藤沢和雄 シンボリ牧場
第5回 2000年5月7日 イーグルカフェ 牡3 1:33.5 岡部幸雄 小島太 西川清
第6回 2001年5月6日 クロフネ 牡3 1:33.0 武豊 松田国英 金子真人
第7回 2002年5月4日 テレグノシス 牡3 1:33.1 勝浦正樹 杉浦宏昭 (有)社台レースホース
第8回 2003年5月11日 ウインクリューガー 牡3 1:34.2 武幸四郎 松元茂樹 (株)ウイン
第9回 2004年5月9日 キングカメハメハ 牡3 1:32.5 安藤勝己 松田国英 金子真人
第10回 2005年5月8日 ラインクラフト 牝3 1:33.6 福永祐一 瀬戸口勉 大澤繁昌
第11回 2006年5月7日 ロジック 牡3 1:33.2 武豊 橋口弘次郎 前田幸治
第12回 2007年5月6日 ピンクカメオ 牝3 1:34.3 内田博幸 国枝栄 金子真人ホールディングス
第13回 2008年5月11日 ディープスカイ 牡3 1:34.2 四位洋文 昆貢 深見敏男
第14回 2009年5月10日 ジョーカプチーノ 牡3 1:32.4 藤岡康太 中竹和也 上田けい子
第15回 2010年5月9日 ダノンシャンティ 牡3 1:31.4 安藤勝己 松田国英 ダノックス
第16回 2011年5月8日 グランプリボス 牡3 1:32.2 C.ウィリアムズ 矢作芳人 (株)グランプリ
第17回 2012年5月6日 カレンブラックヒル 牡3 1:34.5 秋山真一郎 平田修 鈴木隆司
第18回 2013年5月5日 マイネルホウオウ 牡3 1:32.7 柴田大知 畠山吉宏 (株)サラブレッドクラブ・ラフィアン
第19回 2014年5月11日 ミッキーアイル 牡3 1:33.2 浜中俊 音無秀孝 野田みづき
第20回 2015年5月10日 クラリティスカイ 牡3 1:33.5 横山典弘 友道康夫 (有)パカパカファーム
第21回 2016年5月8日 メジャーエンブレム 牝3 1:32.8 C.ルメール 田村康仁 (有)サンデーレーシング

NHKマイルカップの記録

  • レースレコード - 1:32.5(第9回優勝馬キングカメハメハ)
  • 2着との最大着差 - 5馬身(第9回優勝馬キングカメハメハ)

注釈

  1. 開催競馬場・今日の出来事 - JRA公式サイト 2012年5月6日閲覧
  2. 岩田騎手が騎乗停止に=制度導入後、初のGI失格-競馬 - 時事通信ドットコム 2012年5月6日閲覧

関連項目

中央競馬グレードワンレース
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