ツンデレ

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ツンデレとは、「生意気な態度が、あるきっかけで急にしおらしくなる」あるいは「本心では好意を寄せていながら天邪鬼に接してしまう」という様子を言い、特に恋愛形態について好ましく捉えた言葉。「ツンツン」・「デレデレ」からなるとされ、もとは日本ギャルゲー業界に発祥し、アニメ漫画を含むオタクサブカルチャーでは萌え対象として一ジャンルを形成している一方、マスメディア上でも同語が用いられることがある。

概要[編集]

インターネットスラングに由来するため定義はごく流動的かつ感覚的であり、用法の拡散・細分化も著しい。よって一致したツンデレ像があるわけではなく、用例も性別、人間・非人間の別に左右されず、関係や出来事に至るまで幅広い。

当事者にとってはあくまで「不器用な好意」「障壁のある愛」の表現であり、当人も好意を寄せられている相手も、第三者から指摘されるまでツンデレを自覚していない場合が多い。心理学でいうところの反動形成のようなものとも考えられる。

受け手にとっては、意のままにならなかった相手に心を開かせる支配欲、もしくは相手に身も心も委ねてしまう被支配欲を満足させる形になる。そのためツン状態にも強い感情・関心を伴う点が重要な要素である。恋愛感情や尊敬の念、母性本能や嫌悪感にせよ、同じくらい強い動機を持ったツン状態とデレ状態のギャップが受け手にとっての魅力となる。

歴史[編集]

由来[編集]

もともと上の定義にあてはまるような人物・物語設定自体は創作上決して珍しいものではなく、むしろ「恋愛の王道」的なパターンとして古くから見られる。小説においては谷崎潤一郎の『春琴抄』 (1933年) 、漫画アニメにおいては『きまぐれオレンジ☆ロード』 (1984年 - 1987年) の鮎川まどか、『未来少年コナン』 (1978年) のモンスリー、『あしたのジョー』 (1968年 - 1973年) の白木葉子などにも遡ることができ、明確な起源はない。

発祥[編集]

「ツンデレ」は2000年前後にかけて恋愛シミュレーションゲーム、特にギャルゲーの登場人物に対して用いられるようになり、以後一定の概念に基づいて消費されている。「ツンデレ」の共通イメージの形成には、以下のような作品が関わっている。

  • To Heart』 (1997年) の保科智子は心を閉ざしたトゲのある態度から徐々に打ち解けていくことで、また『ONE ~輝く季節へ~』 (1998年) に登場の七瀬留美は突っぱねた態度からしおらしい乙女への脱皮で人気を呼んだ。(七瀬留美は後継作『Kanon』の沢渡真琴とあわせて「ツインテール系」と呼ばれた。)
  • Canvas ~セピア色のモチーフ~』 (2000年) では桜塚恋が、「素直になれない」性格で人気を博している。
  • 君が望む永遠』『秋桜の空に』 (2001年) が相次いで発表され、それぞれ大空寺あゆ、佐久間晴姫がお嬢様、悪友など「ツンデレ的な」キャラを決定づけた。

最初期の用例として2002年8月29日の『あやしいわーるど@暫定』における投稿に、『君が望む永遠』の大空寺あゆについて「ツンツンデレデレが良い」、またその後『秋桜の空に』の佐久間晴姫に対して「ツンデレ」とした記述が確認されており、この時期すでに用いられていたことが窺われる。

その後2ちゃんねる内においてエロゲー板を中心に露出を重ね、ニュー速VIP板で2005年流行するなどを経て既成事実的に定着。さらに単純な四文字言葉であるための用便の気軽さと「勘違いしないでよね!」などのわかりやすいフレーズとともに各方面に拡散し、それに従い用例も拡大した。例えば、

  • 個人の性格や恋愛関係そのもの、それらを含む場面や出来事全体をも指して言うようになった。
  • 2000年以前の作品・人物に対しても拡張して用いられる。(例 : 『同級生』 (1992年) の田中美沙など)
  • ツンデレ=二次元女性キャラであったものが、男性キャラや同性愛、実在の人物に対しても抵抗なく用いられている。
  • 恋愛関係に限らず、ライバル関係や親子関係(海原雄山を参照)で愛憎半ばする様子といったものも指す。
  • 広く動物・事物の振る舞いも含め、猫が勝手気ままに行動する、機械が大事なところで故障するといった例をツンデレと表現する

などが挙げられる。アニメ・ゲーム制作者側がツンデレを積極的にアピールする事例も増え、劇場版『クレヨンしんちゃん』(2006年)ではツンデレがギャグとして用いられている。

現在[編集]

2006年にかけて、週刊誌などマスメディア上で「ツンデレ」の語が用いられた[1]。これは例えばティーン向けファッション雑誌で理想の恋愛像や魅力的な女性像などとして紹介するもので、この場合以下のような観点から特殊な用例であると考えられる。

  • 交友が深まるにつれてデレデレになっていくのは普通の恋愛過程であり、これは「デレた」とは言えても「ツンデレ」とは言えない。ツンデレの場合は最初から相手への関心が強く、その気持ちの方向性がプラス(デレ)かマイナス(ツン)かの違いであるというだけで、相手に向ける気持ちの量は最初から最後まで一定である。またツンからデレに移行するときの落差や期間がかなり急で、ツン状態やデレ状態の峻別が明瞭である。
  • マスメディアでは自立した人であるとかこだわりを持った人、クールな人などとをツンとして紹介されることも多い。ツンの認識に個人差があるとはいえ、ツンのみで一つの性格を成しうるものではなく、あくまでデレとともに対照的かつ表裏一体をなす性格を指す。

ツンデレキャラにはまっている人たちを「ツンデレラ(ツンデレラー)」と呼ぶことがあるが、「ツンデレ」よりもよほど浸透していない同語は2006年の新語・流行語大賞にノミネートされた(入賞は逃した)。これをもってメディアによるキャンペーンは一応の役割を終え、この意味での流行は終息を見たとする意見もある。

商業化傾向にともない、ツンデレキャラの乱発や、特にマンガ・ゲーム作品のアニメ化の際にツンデレキャラばかりがクローズアップされたり、性格ジャンルのみに頼り切った作品が乱発されるようになり、アニメ、マンガ、ゲームなどオタクサブカルチャー全体で作品の質が低下したする評価もある。同時にファンの間ではツンデレに拒絶反応を示すとともに差別化のためむやみに性格をジャンル化したがる傾向が強まり、かえって飽きが進んでいる面がある。

2007年1月末に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた新作おもちゃの流通関係者向け展示会「トイフォーラム2007」で、使い込むにつれ音声ガイダンスの態度が軟化するという「ツンデレ」ナビゲーションモードを搭載したワンセグ携帯テレビがタカラトミーから発表されている。

またギャルの間で「オラニャン」という言葉が使われることがある。「オラオラ」と「ニャンニャン」からなるとされ、意味は似ているが関連性は不明。

分類[編集]

定義による分類[編集]

  • 過程:ツンからデレに変わっていく心境の変化をもってツンデレとする。

「『ツン』の原因(例えば男性不信など)の解決」→「主人公への愛情が芽生え『デレ』になる」などの形でギャルゲー・エロゲーフラグ落ちとしてよく見られ、最終的にバカップル亭主関白のような状況になることが多い。ツンデレの性質を考える際、より狭義的にはこれが源流と見なされる傾向がある。

  • 性格:特定の条件下でデレがツンにとって替わる性格をツンデレとする。

しかし一方で「デレ」を「照れ」と解釈するものがある。デレの表現としてついツンツンしてしまうキャラクターなどがそれにあたる。近年量産されるキャラクターにこの例が多く、またキャラ像がイメージしやすいので、無視できない。そして「ツンデレ」と言えばこれを指す人が多い。

ツン描写による分類[編集]

ゲームを中心としたフィクション作品についての、2ちゃんねるにおける議論をまとめたもの[2]に依拠する。又、複数の分類を併せ持った者も存在する。

主人公嫌悪型 
誤解を含め、何らかの理由で相手のことを嫌っている場合。ポニーテールやショートヘア、セミショートなどで表現される快活なおてんば娘が多い。周囲の人間には普通に接するが、主人公に対してのみ嫌悪感を露わにし、その分だけ愛情表現もはっきりとしているため人気が高い。下記の「高飛車型」にもあてはまる部分が多い、スタンダードでノーマルなタイプのツンデレ。
素直になれない型 
相手への好意を素直に表現することが恥ずかしいタイプ。引っ込み思案な幼馴染等に多い。この場合、他の型よりもツンの程度が弱いことからツンデレではないとする意見もある。中には相手に強気な態度を示すキャラクターもいるが、結局恋愛に対しては積極的になれない性格のためヤンデレ(後述)に近い状態になる場合もある。
高飛車型 
プライドや地位が高く、好意の如何に関わらず相手に隙を見せたくないタイプ。恵まれた財力や才能を支えに高飛車で冷静沈着な姿勢をとる反面、実は感情的だったり酷くドジといった設定が多く、世間知らずで社交性に乏しいことからたいてい友人は少ない。ツリ目、ロングへアやツインテール(またはそれを連想させる髪型)と組み合わせてよく用いられる。他の型に比べ個性的で印象に残りやすいことからこれをツンデレの典型とする意見も多く、特にライトノベル作品の主要女性キャラクターにしばしばこうした設定がなされる。「規律重視・堅物型」のように自分の立場上、強気に接する場合もあり(規律そのものよりも職務へのプライドを重視している)、いずれにしろ主人公とは精神的・実質的な面で上下関係にある。また「主人公嫌悪型」のように当初は主人公に誤解を抱いていたり、デレとは関係なく当初から主人公に強い関心を抱いている場合もある。
女王様型 
高飛車型のイメージからの派生だが、必ずしもドジではなく才能・能力に長けている点で異なる。また自分のごく狭い理想の相手には誰であれ最初から常にデレており、それ以外の他人には見下した態度で接する様子からこう呼ぶ。まれに理想像にあてはまらない種類の人間に心を開く場合もある。統率力が高く、一見さばさばしているが独占欲は強い。社交性には乏しく、そもそも恋愛対象となる異性の友人がごく少数で同性の友人も少ない。ツンデレの中では例外的に単なる利己主義ぶりっ子とも受け取られかねない性格であるためか、積極的な使用例は少ない。
規律重視・堅物型 
生真面目で責任感が強いタイプ。恋愛、特にデレに背徳感を感じる。主人公への恋愛感情と板挟みになり、ヤンデレ(後述)化することもしばしばある。
孤立・孤高型 
感情を表に表さず、孤立して周囲と打ち解けないタイプ。自分の恋愛より使命や責務を優先しようという考えから、自己を強く律している。デレ状態は極端に少ない。「規律重視・堅物型」は情緒的でおとなしいタイプが多いのに対し、こちらは無感情で人間味が感じられないことが多い。
悪友型 
基本的に仲は良く、何かと世話を焼くものの、友達以上に発展しないケース。好意を抱いていない他者にも同じように接し、面倒見の良い幼馴染・同級生などによく見られる。友情や愛情ゆえの信頼感から主人公に対しては強気に接し、主人公もそれを自覚していることが多いが、主人公側から見てデレ時の変化にギャップが少ないため、あくまで「悪友は悪友」とする見方もある。また、「ツンツンする」というほどには強気な態度を示さないため素直クール、クーデレに比定されることもある。
男性恐怖型要出典 
とくに性的虐待などのトラウマにより男性不信・男性嫌悪に陥っているタイプ。実の親など信頼していた他者に裏切られた経験があるため、主人公の行動いかんによって恐怖感を和らげ、信頼を得ることが要となる。

ツンデレに類似した表現[編集]

ツンデレが広まるにつれ多くの派生語が生まれ続けているが、これらはあくまで匿名掲示板などのローカルで気まぐれに発生した後追い語としての側面が強い。中には意図的に流行らせようとする動きもあって知名度を得ているものもあるが、基本的には一部のコアなオタク層にのみネタとして通用するネットスラングにとどまっている。以下に示したのはその一部。

  • 「ツン」+「デレ」の構造を援用したもの

主として「デレ」部分が別の特性に置き換わったり、または両者の配分・配置が変化したケース。

ツンエロ 
普段はツン状態だが、デレになるべきところで途端にエロい行動をとる。
ツンギレ 
普段はツン状態だが、デレになるべきところでさらに理不尽な切れ方をする。
ツンツンデレ 
ツンの部分が非常に多く、なかなかデレの部分が見れないこと。
ツンデレデレ 
こっちはツンの表情を見せてはいるが、すぐにデレ状態になる。
デレツン 
普段はデレ状態だが、一定の条件下になるとツン状態になる(ツンデレの正反対)。
  • 「二つの状態の重ね合わせ」から連想されたもの

変化を伴う経時的なものではなく、あくまでも単独の性格として扱われる。

素直クール 
普段から照れることなく愛情を表して動じることがない。態度は常に変化しない。ふたば☆ちゃんねるにおいてツンデレから派生したもの。
素直シュール 
照れることなく愛情を表すがその形が世間とずれている。態度は常に変化しない。
クーデレ 
好意を素直に表現しつつもあくまで落ち着いている(クールな)様子。多くは清楚で御淑やかだったり、感情をあまり顔に出さない無表情なタイプ。素直クールに対して2ちゃんねるニュース速報(VIP)板で生み出された別称だが、普段はクールで条件下になるとデレデレする、というツンデレの変化ともとれる。ただ、その定義は曖昧で個人差がかなりある。
ツンドジ 
普段はツンツンしていて、相手の好意に対しても動揺は見せない(感謝はする)。プライドが高く、お嬢様タイプが多い。しかし自分の失敗(=ドジ)より途端にお淑やかになり、それを誤魔化そうとしてまた失敗する…など。また、意外な弱点があってその場面と遭遇した時、途端にあたふたする…など。定義は広く、デレの要素はない。
  • 語感のみ応用したもの

多くは駄洒落に近い。意味の上でもツンデレを応用していて秀逸と思われるものを挙げるにとどめておく。

シンデル/ツンデ霊 
ツンデレなゾンビor幽霊が、生きている人間に何かと構って来る。
ツンドラ 
相手に好意を持っている状態でもツン状態が続くことをツンドラツンドラ気候に喩えて言う。高飛車型・女王様型・素直クール(クーデレ)などからの派生。その他に、営業マンが受講するスター研修というソーシャルタイプ(対人性格判断)決める研修が存在する。基本的にタイプは4つに分かれておりドライビング(ドラ:自己主張が強く感情表現が弱い…自分の話以外笑わない)・エクスプレッシブ(エク:自己主張が強く感情表現も強い…天真爛漫派)・エミアブル(エミ:自己主張が弱く感情表現が強い…輪を保とうとする)・アナリティカル(アナ:自己主張が弱く感情表現も弱い…データ派)が在る。このドライビングが適用されている。
軍デレ 
上官の軍人が部下の人物に思いを寄せているが立場上そういったような態度が取れないこと。希少種。

ヤンデレ[編集]

狭い意味では、精神的に病んだ状態にありつつ他のキャラクターに愛情を表現する様子をいう。ただし、定義は流動的で語の使用者によって意味が異なることも多い(病み鍋PARTY[3]公式による)。また、 『にゅーあきば.こむ』の定義は理由を問わず心を病んだヒロインへの萌え属性となっている[4]

概要[編集]

厳密な精神医学理論の背景があるわけではなく、格段の医療知識に基づかないユーザー側のヒロイン分析法であることに注意。ツンデレとは違い、「病んでいる」「デレている」間の変化の意味はなく、愛情に相反して攻撃的な行動を取ってしまうアンビバレンス(両価性)を指す。正常な状態からヤンデレ化することを「闇化 (病み化)」「黒化」などともいう 。交際相手への愛情表現の異常な度合いがファンの間で好まれる。

ヤンデレに伴って見られがちな属性として、恋愛シミュレーションゲームを中心としたヒロインキャラクターのデータベースRagna Archives Networkによる検索では、「ヤンデレ」に関連して内気一途系やきもち焼き不幸少女などが出てくる。『School Days』の桂言葉などは内気で一途なタイプ、『Fate/stay night』の間桐桜はそれに加えて不幸少女として挙げられる。

本来はネタキャラ化・悪ふざけ半分に使われる場合がほとんどだったが、「ツンデレ」のバリエーションに用いられてから好意的な支持が持たれる面もある。ただし、アニメ化などのメディア展開において、物語展開の一環としてヤンデレ的演出(鬱展開など)を行う場合に原作でのコンセプトヒロインの性格設定を軽視しすぎることがあり、『SHUFFLE!』の芙蓉楓は「空鍋」と呼ばれ、『Gift ~ギフト~ eternal rainbow』の木之坂霧乃は「一人(独り)糸電話」と呼ばれるなどして、原作ゲームファンからは非難を買った。

原因と解消[編集]

先天的なヒロイン側の性質ばかりでなく、主人公側のヘタレ・ツンデレ・鬼畜な性格に原因が求められる場合も多い。この意味ではヤンデレと交際相手側のヘタレとの関係は密接といえる。

ヒロインが主人公のヘタレ行動(例:『君が望む永遠』の鳴海孝之・『School Days』の伊藤誠)等によるストレスによって苦しめられる心因性の場合では、該当ストレッサーがなくなることでヤンデレ状態は解消する。これは精神医学における来談者中心療法のように、現実においても精神安定剤などの投与以前に悩みの原因を取り除くのが治療の最善策となるケースが見られることと対応するかもしれない。また、一種の毒物投与を行っていた『Fate/stay night』の間桐臓硯のような先ず排除すべき外敵が存在する外因性のケースもみられる。

もちろんフィクション作品上では解決に至らず、主人公やヒロインが殺されるなど、酷い破局に終わることも多く見られる。

歴史[編集]

こうした性質自体は、恋の病や恋煩い、主人公の意志薄弱といった点ではそう新しいものではなく、エウリピデスの悲劇『メディア』や森鴎外の『舞姫』(1890年)等にみられ、推理小説における殺人の動機などとしても多く知られる。しかし用語としては、近年「ツンデレ」の変奏として普及し始めているものであり、きっかけになったキャラクターは『School Days』(2005年)の桂言葉をはじめ諸説ある。ヤンデレに先だって素直シュールの存在がある。キャラクターの積極性をギャグ愛嬌として肯定的に捉えるような描写が多く、ヤンデレで表されるようなギャップがほとんどないのが特徴だったが、近年ではこれらのキャラクターの主人公への尋常ではない溺愛っぷり(デレ状態)と精神的に弱い面(病んだ状態)を躁的・鬱的に強調したキャラクターも少なくない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]